叶わない恋の情熱が、秩父の冬の夜をかくも燃え盛らせるのでしょうか。京都の祇園祭や飛騨の高山祭とともに「日本三大曳山祭」に数えられ、「秩父祭の屋台行列と神楽」としてユネスコ無形文化遺産にも登録される秩父夜祭。300年以上にもおよぶその由来を辿っていくと、妙見菩薩(みょうけんぼさつ)という女神と、武甲山の男神である龍神の悲恋の言い伝えにいき着きます。
互いに想いあう二柱が龍神の正妻に許しを得て、年に一度、七夕伝説のように出あいを許される日こそが、秩父夜祭の大祭日にあたる12月3日なのだそうです。
そんなエピソードに彩られた秩父夜祭が、3年ぶりに本格的な開催となります。この冬こそは、首都圏からほど近い秩父へ。当社が独自にご用意した観覧席から、熱狂渦巻く冬の大祭典をゆったりと思い出に刻んではいかがでしょうか。
快適さとおもてなしに満ちたデラックスバスに乗って一路、埼玉県西部の秩父の町へ。あたりが宵闇に包まれるなか、鳴り響くお囃子、太鼓の音とともに、計6基の笠鉾・屋台が秩父神社から約1キロ離れた御旅所へと出発していきます。
これらの山車には釘を一切使用しない伝統的な工芸技術が用いられるとともに、その豪華絢爛たる提灯やぼんぼりの飾りつけは目をみはるほどです。その芸術の多様性と豊かな創造性が、ユネスコ無形文化遺産として世界に認められたのかもしれません。最大20トン余りにおよぶ山車を、男衆が「ホーリャーイ、ホーリャーイ」という威勢のいいかけ声とともに曳き回す光景は豪快にして圧巻。冬を忘れさせる熱気に、思わず息を呑むことでしょう。
全国的にも稀な冬の大祭典だけに例年、約30万人弱もの観客が訪れ、町中が活気と賑やかさに包まれます。それだけに観覧スポットは大混雑するとともに、夜間に開催されるため冷え込みもきつくなります。ご案内する旅では、そんな懸念を回避しながら、夜祭の醍醐味をお楽しみただける観覧席をご用意しました。
その1つ目は、中町通り沿いの町屋を貸し切った観覧席です。2階のベランダからは、屋台の上に乗った男衆の凛々しい姿もすぐそこに。寒さを感じたら部屋に移動して暖を取りながら、目の前を通りゆく笠鉾や屋台をタイミングよくご覧いただけます。
もう1つの観覧席は、団子坂下の慈眼寺にご用意しました。暖かなお寺の一室でお弁当をお召しあがりいただいたあと、山車の到来に備えます。先頭の一団が見えてきたら境内に設けた椅子に座り、最大の見せ場である「ギリ廻し」を間近でご覧いただきます。ギリ棒を後輪に差し込んで巨大な山車を浮かせ、かけ声とともに方向転換させる妙技に大歓声が沸き起こります。
祭りのフィナーレは、この季節では稀にして国内屈指の規模を誇る花火大会です。漆黒の冬の夜空に、約7,000発もの花火が次々に舞い上がります。
町中を包む熱気。華やかに煌めく山車を曳き回す力感。そして幻想的な花火ショー…… 冬の一夜物語を、ゆったりと秩父でご満喫ください。