街をミモザの黄色が彩りはじめると、いよいよヨーロッパに春の足音が聞こえてきます。穏やかな陽光に包まれるこの季節の南欧には、カーニバルや旬の味覚など楽しみがいろいろ。フランス、イタリアを中心に、南欧を訪れる3つの旅をご紹介します。
寒い冬を越したヨーロッパで人々が心待ちにするのが、カーニバルです。早春の南欧を訪ねる1つ目の旅では、各地で行われるこの賑やかなイベントをたっぷりお楽しみいただきます。
なかでもとびきりの華やかさで知られるのがフランス・ニースのカーニバルです。いくつもの巨大なフロート(山車)が大通りをパレードする光景は、フランス人のセンスあふれる艶やかな世界。花々で装飾されたフロートから、選ばれし“女王”たちがミモザやアイリスなどの花を観客に投げる「花合戦」も見ものです。縁起物とされるこれらの花を手にしようと会場は大盛り上がり。ツアーでは観覧席をご用意しますので、この会場の雰囲気を、喧騒とは無縁の環境でゆっくりご満喫ください。
イタリアのカーニバルといって筆頭に挙がるのは、やはりベニスの仮装カーニバルでしょう。貴族の衣装を身にまとい、華麗な仮面を付けた人々が往来する街はまさに中世のよう。もちろんお客さまご自身が仮装するのも一興です。目元を隠すマスクを付けるだけでも、非日常を味わっていただけるはず。カーニバルは無礼講。自由行動の日にはお好きな時間に街に繰り出し、この幻想的な世界を心ゆくまでお楽しみください。滞在するホテルは街の中心からすぐなので、散策にも買い物にも便利です。
もう1つのおすすめが、トスカーナ地方ヴィアレッジョのカーニバル。低層の建物が並ぶ美しい海岸沿いの大通りを巨大なフロートが練り歩く様は圧巻です。イタリア人らしいユーモアやウィットに富んだパレードをお楽しみいただけることでしょう。震災の翌年には日本を応援するフロートもあり、居合わせた日本の方が感銘を受ける光景も見られました。
春の訪れを感じる2つ目のツアーは、フランス・プロヴァンスを訪れる旅です。プロヴァンスといえば、イギリス人作家ピーター・メイルの著書『南仏プロヴァンスの12か月』で一躍知られるようになった地。ツアーではまさにメイルが過ごしたリュベロン地方の村ボニューにあるオーベルジュ「カプロング・ホテル」に滞在し、早春の景観や味覚をご堪能いただきます。訪れる頃はアーモンドの白い花が可憐な姿を見せてくれているでしょう。
南仏は、セザンヌやルノワールら印象派の画家が光を求めてやってきた地でもあります。プロヴァンスでは、画家たちゆかりの地や美術館も訪れます。穏やかな陽光が包む街を歩き、作品にふれれば、なぜ彼らがこの地を目指したのか、実感いただけるのではないでしょうか。
旅の後半はコートダジュールへ。香水の街グラースでは、調香体験というユニークな機会が待っています。旅を締めくくるのは、モナコの名門ホテル「エルミタージュ」滞在です。世界に名を馳せるスターシェフ、ヤニック・アレノ監修の新しいレストラン「パヴィヨン」で旬の素材を使った地中海料理をお楽しみください。
最後に、フランス・オクシタニー地方への旅をご紹介しましょう。ぜひご注目いただきたいのが地中海に面した港町コリウールです。青い空と海、可憐な花々、鮮やかな外壁の家々。多様な色に彩られたこの街は、かつてマチスやドランなど「フォーヴィズム(野獣派)」と呼ばれる画家たちを魅了しました。ピカソも隣国スペインから足繁く通ったとか。ここでは、画家たちの心を捉えた街を散策します。
旬の味覚を味わう機会もご用意しました。訪れるのは、良質のカキの養殖に成功した一族が経営する人気ホテル「ドメーヌ・タルブリッシュ」。地中海の海の幸とともに旬の牡蠣を堪能ください。
旅の最後には、城塞都市カルカソンヌの名門ホテル「オテル・ド・ラ・シテ」に連泊します。日中は観光客で賑わう街も早朝や夕方にはひっそりと静まり、中世の趣を取り戻します。静寂の街を散策できるのは、旧市街にあるこのホテルに滞在するからこそ。夜にはライトアップされた幻想的な風景もご覧いただきます。
陽光射す南欧で春を先取る、そんな旅はいかがでしょうか。