極寒の日本海から水揚げされる冬の味覚の王様ズワイガニ。北陸の福井県で獲れる雄は「越前がに」、山陰地方では「松葉がに」と呼ばれるこの蟹を堪能する、2つのコースをご案内します。
まずは冬の福井で、幻といわれる「開高丼(かいこうどん)」を食す北陸の旅。「開高丼」とは、「セイコガニ」と呼ばれる雌の越前がにを手間ひまかけて丁寧にほぐし、炊き立てのコシヒカリに豪快にちりばめた贅沢な丼。食い道楽で知られた作家・開高健が蟹の時期になると足繁く越前海岸を訪れ、好んで食したことから名付けられたそうです。プチプチとした食感の赤褐色の外子、甲羅の内側にある“赤いダイヤ”とも呼ばれる内子はとろけるような旨味があり、濃厚な蟹みそと熱々のご飯に溶け合います。開高健は「それはさながら海の宝石箱である」と称賛しました。
セイコガニは11月6日から12月末までの2カ月の漁期しか獲れたてを食することができないため、あっという間に予約が埋まってしまう幻の丼です。ツアーではそんな予約困難な昼食のお席を15名さま限定でご用意しました。蟹みその付き出し、セイコガニのみぞれ和え、茹で越前がに、蟹甲羅焼と続いて、開高丼が登場するこだわりのコースです。
お泊まりは、魯山人など文化人に愛された山代温泉「たちばな四季亭」。2019年に新しく改装した明るく開放的な大浴場と露天風呂でゆったりとお寛ぎください。
北陸ならではの冬支度「こも掛け」が見られる金沢の武家屋敷跡や、伝統工芸の「金箔貼り体験」もお楽しみいただきます。
2つ目のコースは「松葉がに」を食する島根、鳥取の旅です。毎年11月初旬に漁が解禁されると、鳥取では沖合底引き網漁船で松葉がにが水揚げされます。そのなかでも、甲羅幅11センチ以上の、姿形がよく身入りのよいものにだけ鳥取産を証明するタグ(札)を取り付けて、活きたまま出荷します。
ぎっしり詰まった身は弾力があり、一口食べると濃厚で上品な甘味が口いっぱいに広がります。甲羅のなかには芳醇なコクがある蟹みそがたっぷりと入っています。
品質の証のタグ付き松葉がにを味わうのは、昨年も大変好評だった三朝(みささ)温泉の名旅館「万翆楼(まんすいろう)」。まずは食前酒の蟹酒にはじまり、ふっくらと花が咲いたような活蟹の洗い、天ぷら、焼き活蟹、活蟹セイロ蒸し、活蟹すき鍋、名物のモサ海老と蟹のクリームスープなど、活松葉がにを味わい尽くします。
三朝温泉は世界屈指のラジウム温泉。体に浴びると新陳代謝が活発になり、免疫力や自然治癒力が高まります。さらに湯気を吸ったり、温泉を飲んだりすることで抗酸化機能が高まり、老化防止になるといいます。「万翆楼」では浴場ごとに泉質が異なる、3本の自家源泉のかけ流しのお湯を楽しんでいただけます。
さらに、この旅ではまずはじめに出雲大社へ初詣に訪れ、案内付きで参拝します。そして2023年はうさぎ年ですので、旅の終わに因幡の白兎が祀られている鳥取の白兎神社へお詣りします。
牡丹で有名な日本庭園「由志園」や、足立美術館の見事な日本庭園と、冬季特別展で出品されている横山大観の『乾坤(けんこん)輝く』の鑑賞も楽しみな旅です。