このところ、旅の大きなトレンドの1つとして注目されているのが「ウェルネスツーリズム」です。これは、温泉やスパ、ヘルシーな食事、胸にしみる自然、特別な体験などを通じて、心と体が癒され、明日への活力が得られる旅のこと。今回は、“東洋のリヴィエラ”と称される風光明媚な小田原・江之浦(えのうら)などを舞台に、健やかな心地良さに浸る、1泊2日のウェルネスな旅へご案内しましょう。
プレミアムクルーザーで訪れる旅のハイライトは、「江之浦リトリート凜門(りもん)」の滞在です。「リトリート」とは、日常から隔絶されて、静かにゆったりリフレッシュする過ごし方のこと。2021年に開業したこのリトリートホテルの1番の魅力は、疲れてよどんだ心身を脱ぎ捨て、軽やかな“新しい自分”に目覚める、先進の湯治体験「ルフロ湯治」です。天然温泉から抽出した、30種類以上の良質な天然ミネラルを豊富に含んだミストが全身を包み込むことで、代謝力や免疫力を引き上げてくれるそう。また、室内の床に敷き詰められているのが「薬石」と呼ばれる12種類の国産天然鉱石。その石から発せられる遠赤外線やラジウムの力で体を芯から温め、大量の発汗を促すことで、高いリラックス効果とデトックス効果に加え、肌のうるおいアップも期待できます。そんな特許技術を持つ岩盤浴温泉ミストのほか、開放感あふれる大浴場や坪庭を配した小浴場、さまざまな専門資格を持つセラピストによるトリートメント(オプション)などを通して、これまで味わったことがないほどの快感と深いやすらぎの世界へお連れします。
江之浦リトリート凜門は、地元のオーガニック食材にこだわった滋味に富む料理も見逃せない魅力です。料理長の松本淳さんが腕を振るうのは、“目に愉しく、体と地球にやさしい”斬新なアイデアの日本料理。自然の恵みに感謝し、素材を余すことなく使い、またその素材の味を最大限に引き出しながら、栄養バランスにも心を配っているのが特徴です。その、風土の野趣と生命力にあふれる美しい料理の数々は、心の奥深くで静かな感動を呼び起こすものとなるに違いありません。
ウェルネスツーリズムの2つめの癒しは、フルコースランチです。まず1日目は、古民家をリノベーションした、懐かしい雰囲気のイタリア料理店「cucina vegetale Cuore Ricco(クッチーナ ベジターレ クォーレリッコ)」へ。お召しあがりいただくのは、30種類ほどの新鮮な地元野菜を使った “ベジタブル・イタリアン”。イタリア語で「豊かな心」を意味するCuore Riccoにふさわしい、うるおいのひと時をお楽しみください。そして2日目は、世界的グルメガイドも認めたフランス料理店「MECIMO(メシモ)」です。地元の魚介や野菜をふんだんに使ったモダンフレンチのコースは、一皿ひと皿がワクワクさせられるアート作品のよう。食材の良さが引き立つ味の演出に、思わず頬が緩んでしまうのはいうまでもありません。
今回の旅の3つ目のポイントは、五感を刺激するアートと観光体験です。なかでも注目なのが、相模湾を見下ろす高台に広がる美術館「江之浦測候所」。ギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門などからなる施設は、大自然のドラマと悠久の歴史への思いを表現したもの。その神秘的な世界には、誰もが心洗われることでしょう。また、小田原に生まれた偉人・二宮尊徳を祀る「報徳二宮神社」では、宮司の方の案内から「報徳思想」の精神にふれるほか、さまざまな品種のバラが見頃を迎える「小田原フラワーガーデン」でも癒しの時間をお過ごしいただけます。