背たけをはるかに超える雪深い冬を耐え忍び、新緑が眩いばかりに輝く5月下旬の新潟県・魚沼。旅心もウキウキと目覚めるこの季節に、各種メディアが絶賛する露天風呂と古民家を移築・再生した風情で人気の「里山十帖」を貸切りました。この地の奥深い食文化にふれてはいかがでしょうか。
魚沼、それも南魚沼といえば日本有数の米どころ。そして、山の恵み、日本海の幸と、豊かな食材に事欠かない地です。ご案内する旅では、これらの地産食材を活かしたガストロノミーをお楽しみいただくとともに、津南産のアスパラガスや新潟県オリジナル品種のいちごの収穫体験など心躍るひと時をご用意しました。
ゆったりとバスに身を委ねるうちに、越後湯沢に到着。この地の食文化の底力に早速唸らされるのが、「むらんごっつぉ」での昼食です。「村のごちそう」を意味する店名にふさわしく、コシヒカリ、旬の山菜や野菜、川魚、伝統の醤油など、地元の恵みをふんだんに使った魚沼キュイジーヌ料理に笑みがこぼれることでしょう。
美食への期待をさらに膨らませながら、大沢山温泉郷にひっそりと佇む「里山十帖」へ。足を踏み入れた途端に圧倒されるのは、高さ約10メートルもの吹き抜けが広がる総欅、総漆塗りのレセプション棟です。古民家の重厚さを保ちつつ断熱をはじめとして徹底的にリノベーションを施した設えは、まさにトラッド&モダンの融合。洗練されたその趣が、旅人を魅了してやみません。インテリアや家具にもこだわりを尽くした客室で荷をほどき、しばし寛ぎの時に浸りましょう。
お待ちかねの夕食は、豊作祈願とともに田植えに協力してくれた人々をもてなす“早苗饗(さなぶり)”という言葉をその名に付けたメインダイニングでどうぞ。
料理長の桑木野恵子(くわきのけいこ)さんが魚沼の地に根付く食文化や風土を肌で感じながら表現する自然派日本料理は、懐かしいのにどこか新しい味わい。雪国の発酵・保存食の伝統をも今に蘇らせた一皿ひと皿を、心ゆくまでお楽しみください。
この旅では、特産物の収穫体験も楽しみの1つ。通常は公開していない農園でのアスパラガス収穫体験や、首都圏にはほとんど流通しない新潟県オリジナル品種「越後姫」のいちご狩りを通じて、この地の食の豊穣を実感していただきます。
滋味あふれる食に加えて、「里山十帖」が人気を得ているもう1つの理由が山々を望む露天風呂です。百名山の1つ、巻機山(まきはたやま)を正面に望む類まれな絶景は、各種メディアに取り上げられ、ある週刊誌で「絶景露天風呂日本一」に選ばれたほどです。
視界を遮るものもないこの露天風呂に浸っていると、暮れなずむ夕べには空が巻機山を包みこむかのように鮮やかに染まる光景に息を呑みます。また、漆黒の夜にふと天空を見上げると、幽玄な月や星々が煌めく天の川が広がっていることでしょう。
さとやまの魅力あふれる魚沼の隠れ宿で、日頃の喧騒を忘れさせる旅時間をご満喫ください。