イタリア北東部に位置するドロミテ峡谷。スイスアルプスとは印象が異なる荒々しい岩肌の山々や、湖と山並みとが調和した美しい眺望が広がります。今回の旅はドロミテ地域に計4泊するゆとりの行程です。
まずは、一般的なツアーではなかなか訪れることの少ないサン・マッダレーナ村へ足を延ばします。ドロミテ峡谷最奥に位置するのどかな村には草原や針葉樹の森が広がります。その向こうに天を突きさすようにそびえるのがガイスラー山群。見る者を圧倒するような存在感の山々は、この地を訪れてこそ出あえる景色です。
翌日はドロミテ峡谷街道をドライブ。峡谷の間を走る車窓の外には切り立った山塊が次々と現れ、思わず言葉を失うような大迫力。東部の街、コルティナ・ダンぺッツォへ到着した次の日は“ドロミテの真珠”と称えられるミズリーナ湖や「3つの頂上」を意味する名前がつけられたトレ・チーメ・ラヴァレドなどへご案内します。
旅の6日目はオーストリアの最高峰、グロスグロックナー山の南北に走る景勝道路のドライブへ。フランツ・ヨーゼフ展望台からは名峰グロスグロックナーをはじめ、標高3,000メートル級の山々を望めます。かつての皇帝、フランツ・ヨーゼフ1世も訪れたといわれ、オーストリア最大級を誇るパステルツェ氷河も必見です。
山岳ドライブの見どころはこれだけではありません。山間にあるハイリゲンブルート村ではのんびりと散策を。尖塔がそびえるヴィンツェンツ教会と美しい山々は絶好の撮影スポット。鐘の音を聞きながら、大自然とともに生きる人々の暮らしに思いを馳せるのも一興です。また、拠点となるツェル・アム・ゼーでは2連泊し、湖畔の街での観光をゆったりとお楽しみいただけます。
旅の後半はチロル地方へ。まず訪れるのは「ヨーロッパで最も美しい花の村」に選ばれたことのあるチロル東部のアルプバッハです。標高1,000メートルほどに位置するこの村は昔ながらの木の家々が建ち並び、バルコニーや窓枠には旅人を歓迎してくれるかのように色とりどりの花が飾られています。山々の緑と花の彩りが旅の思い出を鮮やかに残してくれるでしょう。
そのあとはアッヘンゼー鉄道に乗り、約1時間をかけてアッヘン湖へ向かいます。シュッシュッと蒸気を上げながら、勾配をゆったりと進むSLの旅は乗っているだけでワクワクします。街や山を抜け湖のほとりへと進む風景は見飽きることがありません。この日からはチロルの中心地、インスブルックに3連泊。インスブルックは昔から交通の要所として発展してきました。ハプスブルク家ゆかりの王宮やアルプスの絶景を楽しめるノルトケッテ展望台など見どころも豊富です。
さらに、チロル西部に位置するレッヒへご案内します。ヨーロッパ各国の王族もスキーを楽しむために訪れるという人気の山岳リゾートです。夏は上品な街の雰囲気に季節の花が彩りを添え、歩いているだけでちょっと優雅な気分に。ロープウェーで上がったところにある展望台からはオーストリア側からのアルプスをお楽しみください。続いて訪れるのはゼーフェルトです。美しいフレスコ画が描かれた建物を眺めながら、馬車でゆったりと街をめぐります。
ダイナミックな山塊に圧倒されるドロミテ峡谷。愛らしい花々に彩られたチロル地方。湖や山々の心洗われるような清々しい風景。どれも、大自然が描くこの季節の名場面です。ぜひ、爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込みながら、アルプスの多彩な魅力をご満喫ください。