今回はエストニア政府観光局から機会をいただき、エストニアで開催された商談会に参加してきました。地方の観光局やホテルなどさまざまな業種の方々が集まり、バルト三国の観光素材を紹介いただきました。
エストニア、ラトビア、リトアニアの三国はまとめてバルト三国と呼ばれています。帝政ロシア解体後、1918年に3つの国は独立。三国合わせても日本の国土面積の半分にも満たない小さな国々で、それぞれに異なる言語を持ち、独自の文化を築いてきました。各国とも、首都の旧市街は世界遺産に登録されています。そんなバルト三国のうち、今回はエストニアとリトアニアを訪れました。
視察初日の5月6日、羽田空港を出発し、まずはフィンランドの首都ヘルシンキから、バスとフェリーを乗り継ぎエストニアの首都タリンへ。バスの窓からタリン旧市街の尖塔が段々と見えてきた時の高揚感は忘れられません。
到着すると早速、旧市街の視察へ。街歩きのスタートは赤い三角帽子の屋根を持つヴィル門。ここから城壁に囲まれた旧市街に入っていきます。いくつもの石造りのくねくね道が広がっていますが、迷子になることはありません。旧市街はとても小さく、街歩きを楽しむのに最適です。思い思いに歩いているとかわいらしい雑貨屋さんがたくさん目に留まります。かつて農耕民族だったエストニア人は、自然を信仰し、各地域で特色のある文化と手工芸品を発展させてきました。そのため、地方や地域ごとに特有の色、模様で編まれたミトンや靴下、織物など、見事な工芸品を扱う専門店やリネン雑貨の店が多くあります。今回、ガイドさんイチオシの工芸協会直営の工芸品店「Eesti kasitoo」では色鮮やかな刺繍の施されたミトンを購入しました。小さいながらも見応えのある店ばかりでした。
翌日は、リトアニアの首都ヴィリニュスへ。リトアニアの国土はバルト三国のなかでは一番広く、その国土のほとんどが農耕地と森林で、湖も多いことから“森と湖の国”とも呼ばれる美しい国です。石畳の細い路地が続くヴィリニュス旧市街は中世の雰囲気たっぷりですが、近年はおしゃれなカフェやブティックが並び、西側文化が濃くなっているのを感じました。
さらに足を延ばし、リトアニア第2の都市カウナスへ。第2次世界大戦中、日本政府の命令に反して多くの難民を救うビザを発給した外交官・杉原千畝が活躍した街で、旧日本領事館跡が彼の功績を称える「杉原記念館」となっています。実は、この記念館はコロナ禍で閉館の危機に。そんな時、日本でプロジェクトが立ち上げられ、クラウドファンディングで集められた支援金で現在も存続できていると職員の方が話してくださいました。日本との強い絆を感じる時間となりました。
文化、歴史と、それぞれに異なる魅力を秘めるバルト三国。短い夏が終わるとあっという間に秋の装いへ早変わり。色づく季節もまたおすすめです。