［国内特集② ］

食の宝庫・石川の豊かな味・食文化・生産者の想いもいただく

能登を代表する
一流シェフたちがつくり上げる

一夜限りの美食の饗宴２０２３秋

企画=笠原晴香文=清野協子

初冬に石川の食材の産地とつくり手を訪ねて

今回で９回目の「石川県（公益財団法人いしかわ農業総合支援機構）」との“食のタイアップ”の旅。和倉温泉の老舗旅館「多田屋」の酒井誠史料理長と、能登のトップシェフ有志によるコラボレーションが今年も実現しました。このツアーでしか味わえない一期一会の美食の饗宴をお楽しみいただくのに加え、石川県内のこだわりの産地もめぐります。

和倉温泉「多田屋」の酒井誠史料理（左上）、長能登のトップシェフ池端隼也さん（右上）、平田明珠さん（左下）、黒川恭平さん（右下）

まず訪れるのは栄養豊富な七尾湾で捕れる「能登かき」。小粒ながらもやわらかく凝縮された甘味が特徴です。「浜焼き能登風土」でお話を伺いながら、新鮮な能登かきを浜焼きでいただきます。

次は冬を告げる能登の代表的な特産物「ころ柿」の見学に「細川農園」を訪れます。ころ柿とは渋柿を干して渋みを抜いた干し柿のことです。渋柿は甘柿より糖度が高く、渋みを抜くことでより甘くなります。初冬の能登の変わりやすい天候のなかで、空模様に注意しながら雨に当たらないよう柿を屋内に入れたり、外に出して太陽に当てたりと、丁寧に心を込めて仕上げます。「干し柿を好きな方でも『こんなにおいしいものははじめて食べた』と感激されていますよ」と、ころ柿づくりの“名人”といわれる細川宗宏さん。生産数が限られ、なかなか市場に出回らない貴重なころ柿を、ぜひ味わってください。

一度食べたら忘れられない上品な甘味の「ころ柿」（©石川県）
「ころ柿は、冬の冷たい風に干している間に渋味が抜けていきます」「細川農園」細川宗宏さん

続いては能登特産の白ねぎ「能登ねぎ」の見学です。能登白ねぎは肉質が緻密でほのかに甘く、緑の葉先まで軟らかいのが特徴。白い部分を太く、長くするために何度も土寄せを行い、丹念に育てています。

能登の白ねぎは甘くてやわらか、鍋物や煮物などにぴったりです

そして、七尾湾に浮かぶ能登島で、こだわりの野菜を生産する「ＮＯＴＯ高農園」へご案内します。能登島の赤土の土づくりからこだわり、農薬も化学肥料もほとんど使わない自然農法で、愛情のこもった３００種類もの野菜の生産を続けています。ここでつくられた野菜は香り高く味が濃く、全国の料理人から絶大な支持を集めています。皆さまには旬の野菜の収穫体験や、試食をお楽しみいただきます。

「ＮＯＴＯ高農園」高利充さん（左）と博子さん（右）「消費者に、料理人に愛される野菜を」

ＮＯＴＯ高農園の色鮮やかな野菜

最後に訪れるのは、加賀れんこん農家の「蓮だより」。代表の川端崇文さんは２８歳で脱サラし、れんこん農家に転身しました。除草剤、農薬、化学肥料不使用でつくられており、皮を食べても安心。デンプン質が多く、ねばりが強いのが特徴です。冷たい水に浸かり、水を噴き出すホースを操りながられんこんを収穫する、迫力ある様子をご覧いただきます。

加賀れんこん農家「蓮だより」代表の川端崇文さん「皮まで食べられる加賀れんこんチップもつくっています」

石川ならではの初冬の旬菜で一夜限りの特別な晩餐会

この旅のメインイベントは、和倉温泉多田屋で催される多田屋の料理長と能登のトップシェフたちが共演する「特別晩餐会」。一皿ひと皿を丁寧に解説いただきながら芸術作品ともいえる美味をご堪能ください。ご紹介した食材に加え、石川県が誇るブランド蟹も登場します。石川県内で獲れる雄のズワイガニは「加能ガニ」と呼ばれ、ぎっしりと詰まった身は繊細な甘味があり、蟹みそは濃厚でクリーミー。初冬限定で楽しめる「香箱ガニ」と呼ばれる雌のズワイガニのお腹にある、プチプチした外子と甲羅のなかにある濃厚な内子の味わいも格別です。