[ 国内特集① ]

古都の芸術と美食に浸る
味わい深い秋旅へ

企画=後藤秀幸 文=浅見浩司
  • イメージ イメージ 上村淳之展で展示予定の『晨』(株式会社ヤマタネ所蔵)

かつての日本の都としての伝統が今に息づく奈良。そんな古都で受け継がれてきた芸術と美食の世界にじっくり浸る秋の旅をご用意しました。心が深いやすらぎで満たされる、雅で麗しいひと時をどうぞ。

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花鳥画を中心とする名画と通常非公開の旧佐伯邸

奈良を訪れる10月と11月のコースに共通したハイライトは、「松伯(しょうはく)美術館」で期間限定開催される「文化勲章受章・卒寿記念特別展 上村淳之(うえむらあつし)展」です。上村さんは、“美人画の巨匠”と謳われる上村松園(しょうえん)を祖母に、花鳥画で京都画壇をけん引した上村松篁(しょうこう)を父に持つ、現代花鳥画の大家。今回の特別展では、美術館の館長でもある上村さんの名作の数々を中心に、青蓮院門跡の襖絵や祇園祭の大船鉾天井画といった通常は一般公開されない作品に加え、特別展示される松園と松篁の名画もご覧いただけます。さまざまな鳥の姿を通じて自然の叡智を表現する、上村さんの温もりあふれる作品を前にすると、命への畏敬の念が込み上げてくることでしょう。

  • イメージ イメージ 上村淳之展で展示予定の『月の水辺』(大分市美術館所蔵)
  • イメージ 花鳥画の新境地を開いた上村淳之さん2022年に文化勲章を受章
  • イメージ 上村松園・松篁・淳之三代の画業の紹介を目的に開館した松伯美術館

また、美術館に隣接する、通常非公開の旧佐伯邸を特別見学できるのも、2コース共通の魅力です。近畿日本鉄道の社長であった佐伯勇の住まいとして1965年に建てられたこの邸宅は、昭和を代表する建築家・村野藤吾の設計によるもの。庭と建物が調和した優美な佇まいは、伝統的な数寄屋建築の手法に近代的な技術を取り入れた近代和風住宅として、高く評価されています。

  • イメージ イメージ 昭和を代表する建築家・村野藤吾の意匠が見られる、現存する数少ない建築物の旧佐伯邸
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滋味あふれる会席料理を麗しい庭園内の離れで

さらに、11月のAコースでは、松園が晩年を過ごした別荘で、現在は上村さんのアトリエ兼ご自宅となっている「唳禽荘(れいきんそう)」にもご案内します。松篁が名付けたこの荘名は、「鳥のいっぱい鳴く家」という意味。自然豊かな約33,000平方メートルの荘内には、タンチョウヅル、クジャク、キジなど約60種・700羽の鳥が飼育されています。当日は、通常非公開の荘内見学もお楽しみいただく予定です。上村さんの描く美しい鳥たちが、ゆったり伸びやかに暮らす様子をどうぞお近くでご覧ください。

今回の2コースでは、奈良の旬の食材を使った、本格的な会席料理の昼食も見逃せない魅力です。訪れるのは、閑静な高台に約10,000坪の庭園が広がる料亭「百楽荘」。麗しい秋の自然に包まれた庭園内に点在する10の離れは、古き良き時代の趣ある数寄屋造り。しっとりした美食の時間をごゆっくりお楽しみいただけます。

  • イメージ イメージ 旬の食材や地元の大和野菜を使った、百楽荘の会席料理
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紅葉の見どころと品格あふれる「登大路ホテル」

色鮮やかな紅葉の時期にあたるAコースでは、鬱蒼とした山あいに佇み、“女人高野”と呼び親しまれる「室生寺」へもご案内します。国宝の本堂、金堂、五重塔などが赤や黄に染まる情景は、まさに圧巻の美しさといえるでしょう。お泊まりは、興福寺の袂で品格ある佇まいを見せる、「登大路ホテル奈良」。館内レストランでの本格的なフランス料理の夕食もおすすめです。

  • イメージ イメージ 美しい紅葉のなかに佇む、室生寺の壮麗な仁王門
  • イメージ イメージ 2022年11月にリニューアルオープンした登大路ホテル奈良
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境内いっぱいのコスモスと癒しのスイートルームを

10月出発のBコースで訪れるのが、“コスモス寺”の愛称で親しまれる「般若寺」。旅では、境内一面に咲く、約30種類・15万本のコスモスを観賞することができます。京都府側に入った山中にある「岩船寺」では、高さ3メートル近い「阿弥陀如来坐像」のほか、今回は、特別公開される「秘仏・如意輪観音菩薩」も拝観いただけます。ご宿泊は「ふふ奈良」。木々や風、天然温泉の露天風呂に癒されるスイートルームでのひと時をご満喫ください。

  • イメージ イメージ 四季折々の花で有名な般若寺の本堂前を彩るコスモス
  • イメージ イメージ 世界的建築家の隈研吾さんデザインによる、ふふ奈良