駅のプラットホームで待っていると、目に飛び込んできたのは、ほかの在来線とは一線を画す威風堂々とした重厚な佇まいの「36ぷらす3」。憧れていた列車旅に期待が高まったのを覚えています。私が以前乗車したのは別ルートでしたが、その際の感想とともに、今回の旅についてご紹介します。ご案内するのは、月曜日に博多から佐世保まで約4時間50分で運行するルートです。
乗車してまず印象に残ったのは、車両ごとに配置された凝ったインテリア。それぞれ異なる木材を使い伝統工芸の技が施されています。足を踏み入れれば気分も上々。ソファに腰掛け、ウェルカム・ドリンクでひと息ついていると、まもなく昼食が運ばれてきました。
今回ご紹介するルートの昼食は、福岡中洲にある人気料理店「日本料理ながおか」による旬の食材にこだわった品々を楽しめるお重。発車直前にできたてが届けられます。
客室の窓は細かい装飾のある木枠で囲まれ、流れゆく風景を映す額縁のよう。景色を眺めつつのんびり過ごしてはいかがでしょう。
やがて、列車は肥前浜駅に到着です。一帯は江戸時代から昭和時代にかけて、酒や醤油などの醸造業を中心に発展した地域。今も蔵元があり、約50分の停車中には、駅で日本酒の飲み比べや特産品の販売も。その後有田焼で知られる上有田駅にも停車します。約15分間の停車時間ですが、風情ある駅舎をバックに記念写真もおすすめです。
以前ご一緒したお客さまは、個室で寛ぐだけでなく、マルチカーと呼ばれる車両に移動して客室乗務員のお話を聞くなど、思い思いに過ごされていました。「36ぷらす3」ならではの、特別感のある乗車そのものを楽しみにされていたお客さまが多く、「列車の旅を楽しめた」「途中の小さな駅も秘境感があって印象深かった」などと話されていました。
今回は、佐世保到着後、ハウステンボスに向かいます。園内のホテルに宿泊するので、夕食後に、冬の風物詩となっている園内のクリスマスイルミネーションもゆっくりとご覧いただけます。ヨーロッパ風の街並みに、光り輝くクリスマスツリーが並ぶ景観は何ともロマンティック。翌日は日中のハウステンボスをお楽しみください。
冬の日本海を眺めながらドライブを楽しみ、季節限定の美味に出あう旅はいかがでしょう。「越前がに」は福井県で水揚げされた雄ズワイガニのこと。越前漁港は福井県随一の水揚げを誇ります。1年のうち約2カ月だけ食べることができるのが貴重な雌ズワイガニである「セイコガニ」。「ふるさとの宿 こばせ」の「開高丼」は、この「セイコガニ」を贅沢に使った知る人ぞ知る名物料理です。足しげくこの店を訪れた文豪・開高健(かいこうたけし)のリクエストで生まれた一品です。この旅では「開高丼」をはじめ、越前がにたっぷりの蟹づくしのコース料理を楽しみます。予約が取りづらいお店ということもあり、毎年大好評をいただいています。
また、石川県金沢の風情ある一画、ひがし茶屋街に佇む名店「東山ロベールデュマ」では、フランス料理のコースランチもお楽しみいただきます。心地良いサービスと落ち着いた雰囲気のなかで、この地ならではの季節の素材を用いた品々をお召しあがりください。