自然と人々の営みがドラマティックに移りゆく日本の四季は、ヴィバルディさえも創り得ない壮大な組曲のようです。ご案内するのは、ひと足早く夏の感動を奏でる北国の祭りや、伝統行事を満喫する旅。東北では青森ねぶた祭と五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊りの熱狂のなかへ。富山の越中八尾では、短い夏を惜しむかのような「おわら風の盆」の哀愁にふれられます。VIPシート観覧席を利用するプランも織り込んだ多彩なコースをご用意しました。
東北の夏祭りといえば、一度は体験したいのが青森ねぶた祭でしょう。宵闇の静寂を破るかのように巨大な人形灯篭が光揺めかせながら迫りくるとともに、その躍動を煽るかのように太鼓や笛、手振り鉦の音とお囃子が響き、「ラッセラー! ラッセラー!」の勇壮なかけ声とともに跳人(はねと)たちが乱舞する狂おしいほどの熱気は、息を呑むほどの大迫力です。開催期間の8月2日~7日にかけて、例年全国から延べ200万人以上の観光客が訪れ、まさに町中が熱狂の渦に包まれる青森ねぶた祭。その興奮をより快適に観覧していただくために、Aコースでは従来の観覧席から、プレミアム観覧席VIPシートへとグレードアップ。まさに“特等席”と呼ぶにふさわしい、贅なる観覧スペースをあらかじめ確保しました。
VIPシートの魅力は、ゆとりとともに圧倒的な臨場感をお楽しみいただけること。高さ約1.6メートルの掘りごたつ式の観覧席からは、目線と同じ高さからねぶたを望むことができます。ねぶた師の魂が込められたねぶたの意匠を細部までご覧いただけます。
お食事やお飲み物も、VIPシートならではのおもてなし。お弁当は、白神山地や津軽海峡をはじめ、自然豊かな青森ならではの地産食材を活かしたお重仕立てで。座席にはシャンパンや青森の地酒をご用意するとともに、専任のコンシェルジュがきめ細かなサービスをご提供します。そして観覧席の傍らには、ねぶた師が。ねぶた文化や作品に対する想いなどを解説いただきながら、たっぷりと祭りの魅力を満喫してはいかがでしょうか。
東北の夏旅の定番ともいえる青森ねぶた祭だけに、比類なき熱狂を体験済みの方も多いことでしょう。そんな皆さまにもぜひ再訪をおすすめしたい理由は、青森ねぶたの人形灯篭はほかの祭りのように使い回すのではなく、1年限りの作品であること。訪れる度に、新しい発見と感動がある祭りなのです。
それだけにねぶた師は、オリジナリティあふれるねぶたをつくりあげるために、テーマ選びや構想を練りに練りあげます。また、祭りに対する地元民の想いも相当なもの。何カ月も前からお囃子の練習をする音が町角に響きわたり、跳人は浴衣を新調するなどして、その日を待ち焦がれます。この繰り返しのなかで青森ねぶたは冬を乗り切る地元民の情熱となり、生活の一部となって強く根付いてきたのです。そんな背景を知るほどに、旅心が熱くたぎってくることでしょう。
津軽の地では、弘前や黒石など各地で同様の夏祭りが開催されることをご存じでしょうか。Bコースではそんなねぶた王国の祭りのなかから、青森ねぶた祭と五所川原立佞武多を満喫します。
青森ねぶた祭と人気を二分する五所川原立佞武多の魅力は、その圧倒的なスケールです。“たちねぷた”と称するように、大型立佞武多ともなるとその背丈は、6~7階建てのビルに相当する約20メートル以上。その勇壮にして巨大な姿は、 かつて隣町の金木地区からも見えたという言い伝えがあるほどです。
あたりが宵闇に包まれるとともに響き渡ってくるのは、忠孝太鼓や囃子、「ヤッテマレ! ヤッテマレ!」のかけ声、そして巨大なねぷたが雄姿を現してくることでしょう。夜空にそびえたち迫りくる様は、まさに圧巻。歌舞伎役者が大見得をきるがごとく眼下を睨み見るような表情や、細かな造形、鮮やかな色使いに思わず目をみはります。
Cコースは立地の良い市内のホテルに滞在し、東北二大祭りといわれる青森ねぶた祭、秋田竿燈まつりをお楽しみいただく旅です。竿燈を稲穂に、連なる提灯を米俵に見立て豊作を祈る秋田竿燈まつりは、まさに米どころならではの夏の伝統行事。最大四六個の提灯を吊り下げた竿燈が、約280本もの塊となって夜空を煌めかせる光景は見惚れるほどです。
もう1つの見どころは、「ドッコイショー! ドッコイショ!」という威勢のいいかけ声に盛り立てられながら、長く重い竿燈を平手・額・腰・肩へと移し替えていく“差し手”の妙技。その鮮やかさに大歓声が巻き起こります。祭りをご覧いただく前には、それぞれの歴史を知ることができる施設へご案内します。「ねぶたの家 ワ・ラッセ」では、ねぶた大賞受賞作品をはじめ実際の大型ねぶたを目前に。「秋田市民俗芸能伝承館」では、竿燈演技の体験コーナーもありますのでチャレンジするのも一興です。
Dコースはアクセスも便利な市内のホテルに滞在し、秋田竿燈まつりと、近年注目度を増している盛岡さんさ踊りを堪能する旅です。東北の夏祭りの先陣を切って開催される盛岡さんさ踊りは、三ツ石神社の神様が鬼を退治してくれたことを喜んだ里人たちが、三ツ石のまわりを「さんさ、さんさ」と踊ったのが起源だとか。そんな喜びを体いっぱい発散するかのように、この踊りは元気のよさが特徴。かけ声や打ち鳴らされる太鼓の音とともに、踊り手が華やかに群舞していきます。
なかでも圧巻は、幾多の太鼓が織り成す大音響。2014年6月には、「和太鼓の同時演奏」の世界一記録を再奪還したほどです。天まで轟くような迫力の音圧に、体の芯まで打ち震えることでしょう。
それぞれが魅力を放つ東北の夏祭りを堪能し尽くしたい……。そんなご要望を、多くいただいていました。なかには、あるコースに参加後、独自に祭り観覧の旅を続けるお客さまも。そこで当社では、青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊りを連続で楽しめるプランを設定。祭り会場や駅から近い宿泊ホテルを確保し、移動などに伴う負担も軽減できます。東北の夏祭り制覇の想いも手軽になりました。