歴史に美術、音楽、食と、魅力満載のイタリア。 観光地はいつも多くの旅行者で賑わっています。 今秋は、そんなイタリアをゆったり見学いただくため、 特に人気の高い4つのモニュメントの貸切見学を実現しました。 秋の味覚を味わっていただく機会も随所に設けています。 この特別感満載の旅を、前後編でご紹介します。
観光地として高い人気を誇るイタリア。この地には、歴史的建築物から美術、音楽まで魅力的な要素がぎっしり詰まっています。しかし、世界の旅行者を魅了するだけあって、人気の観光地では混雑が避けられないのも事実。せっかく目的の地に辿り着いても「待望の絵が一瞬しか見られなかった」「見たのは人の頭だけ」などという経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。なかには、予約すら難しい観光地も存在します。
そこで三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、イタリアのなかでも人気の高い4つのモニュメントを貸切見学でお楽しみいただくツアーを実現しました。あの名画も聖堂も寺院も、皆さまだけで、心ゆくまでご覧いただけます。
1つ目がローマのシスティーナ礼拝堂です。バチカン市国が有する芸術の宝庫、バチカン美術館にはルネッサンスの巨匠たちが残した傑作が満載ですが、なかでも圧巻なのがこの礼拝堂。天井を覆うのは、ミケランジェロが4年余りの歳月をかけて描いた大迫力のフレスコ画です。時の教皇ユリウス2世の依頼に、当初は難色を示しながら、強い説得に折れて引き受けたミケランジェロは、数々の苦難を乗り越えてこの天井画を完成させました。300人を超える登場人物とともに描かれたのは旧約聖書に題材をとった『天地創造』など創世記の9つの場面。この大作をたった1人で描き上げたことに驚嘆します。そして祭壇奥にあるのが、その20数年後に描かれたもう1つの傑作『最後の審判』です。
バチカン美術館は、パリのルーブル美術館に次いで入場者数世界第2位の人気を誇ります。そのなかでも特に混み合うこの礼拝堂では、通常私語が禁止されており、ガイドの解説も許されていません。しかし、貸切りでの鑑賞が実現した今回のツアーでは、ガイドの同行も可能となりました。実際の絵を目の前にして聞く解説が、鑑賞をより感慨深いものにしてくれることでしょう。
そして2つ目が、花の都フィレンツェのドゥオモです。正式名称「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(花の聖母大聖堂)」のフィオーレ(花)は、この街のシンボル、ユリにちなんだもの。街のどこからでも見える巨大なクーポラ(円蓋)を有し、名実ともに街のシンボルとなっているこのドゥオモには、連日、見学客が長蛇の列をなします。今回、この場所を、夜間開扉の特別許諾を得て、ツアーの皆さまだけで鑑賞していただけることになりました。
白亜にピンクと緑を幾何学的に組み合わせた大理石の優雅な外観とは対照的に、内部は厳かな印象。最大の見どころは、ルネッサンスを代表する建築家ブルネレスキが考案した八角形の大円蓋です。円蓋の内側に描かれているのは、16世紀の画家ヴァザーリらが手がけた華麗な天井画『最後の審判』。大円蓋に登れば、フィレンツェの街並みが一望できます。美しい花の都をとくとご覧ください。
サプライズもご用意しました。この特別参観に合わせて、聖堂内にあるイタリア屈指のパイプオルガンの仕組みをマエストロが披露。さらに試し弾きもしてくれます。大きなミサ以外ではなかなか聴く機会のない名器の音。約3万人の人々を収容するホールとしても使われる巨大なドゥオモに響きわたる美しい音色に酔いしれましょう。
3つ目は、ヴェネツィアのサンマルコ寺院の夜間特別鑑賞です。
街の守護聖人である聖マルコが眠るこの寺院は、九世紀に建てられた後、11世紀に再建され、17世紀に改築が加えられました。そのため、ビザンティン、ロマネスク、ゴシック、ルネサンスというさまざまな建築様式が混在し、かつそれらが調和しています。圧巻は内部で、上部の壁と円蓋に金箔の施されたモザイク画が描かれ、まさに黄金の世界。夜間の鑑賞では天井がライトアップされ、一層幻想的な空間となることでしょう。数千もの宝石が散りばめられた主祭壇背後の黄金の衝立「パラ・ドーロ」も必見です。通常の見学では足を止めてじっくり眺めるのは容易ではありませんが、この旅では黄金の輝きを心ゆくまで味わっていただけるはずです。
最後は、ミラノのサンタマリア・デッレ・グラツィエ教会の『最後の晩餐』です。いうまでもなく、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたこの傑作。ひと目見たいと思うのは人情で、正規の入場券は常に売り切れ状態ともいわれる人気ぶりです。さらに、入場できても鑑賞時間は15分ほど。教会内にある食堂の壁にテンペラで描かれた絵画は保存が難しいため、1日の入場者数や滞在時間を制限しているのです。
この貴重な絵画を、今回はたっぷり1時間、皆さまに鑑賞いただけることになりました。もちろん内部でのガイドの説明もあります。遠近法や明暗法、解剖学の科学を駆使してレオナルド・ダ・ヴィンチが描いたイエスと12人の使徒。「この中の1人が私を裏切る」――イエスのこの言葉を聞いた12人それぞれの表情にぜひ注目ください。見つめるほどに発見があるに違いありません。