秋といえば、旬の食材が豊富な季節。セレナーデ号の料理人たちのアイディアが詰まったスペシャルメニューで皆さまをお迎えします。そして今年は、贅沢な船内コンサートをすべてのクルーズで開催。各地での名画鑑賞など、見応えたっぷりの寄港地観光も。美味に満たされ、芸術に酔いしれる。ヨーロッパの秋を楽しむ船旅で、いくつもの忘れられない思い出が生まれることでしょう。
秋のスペシャルメニューとして、最初にご紹介するのは、さまざまなきのこを使ったフルコースディナーです。ヨーロッパで親しまれている秋の食材といえば、きのこが挙げられます。この時期、市場には多様な種類が並び、森できのこ狩りを楽しむ人も。セレナーデ号の船内でも旬のおいしさをご満喫ください。
コース料理に使うのは主に5種類。一言できのこといっても、味わいや香りは個性豊かです。それぞれの特徴をご紹介しましょう。まず、アンズ茸はその名の通り、アプリコットのような香りが特徴的。ポルチーニ茸やアミガサ茸と並ぶ、ヨーロッパ3大食用きのこの1つといわれ、家庭料理にもよく使用されるそうです。次にご紹介するのは、日本人にもなじみ深い椎茸。ヨーロッパでは「シイタケマッシュルーム」と呼ばれ、日本で採れるものよりもやや大きめです。和食の定番食材が、どんなお料理にアレンジされるのかお楽しみに。3つ目にご紹介するヒラ茸もまた、普段お召しあがりになったことがある方も多いのではないでしょうか。傘の形が牡蠣に似ていることから「オイスターマッシュルーム」とも呼ばれています。肉厚で歯ごたえの良さが特徴です。4つ目は、マッシュルームのなかでも特に大きい「ポットベラマッシュルーム」。イタリア語で「ポット」は「傘」、「ベラ」は「美しい」を意味し、形が整った傘は食べ応えあり。最後は、世界3大きのこの1つといわれるポルチーニ茸。トリュフや松茸と同様に、食欲をそそる香りと味わいは秋ならではのごちそうです。
それぞれの特徴を活かした創作メニューは、シェフや調理スタッフ、駐在員などが試行錯誤を重ねてつくり上げた自信のおいしさ。大変うれしいことに例年ご好評いただいておりますが、特に「マッシュルームのクリームスープ カプチーノ仕立て」が人気です。船内では、こちらのコース料理をご提供する際、シェフが食材のご説明もします。実際にヨーロッパのきのこをご覧いただくと、その香りや大きさに驚かれるお客さまも。森の恵みをたっぷりとご堪能いただけます。
そして、もう1つのスペシャルメニューが「秋の収穫祭」をテーマにしたお料理です。この時期、ヨーロッパ各地で秋の実りに感謝するお祭りが開催されます。船内でのお食事にも、季節の食材をふんだんに取り入れ、旬の味覚の1つ、カボチャは風味と食感が引き立つサラダに。また、秋のヨーロッパの風物詩といえば、街中に漂う焼き栗の香りです。栗は古くはローマ兵の栄養食としても用いられたといわれ、船内ではまろやかな栗のスープとしてご提供。お口いっぱいに滋味深いおいしさが広がります。
また、秋はジビエが旬を迎える季節。「ジビエ」はフランス語が語源で、食材となる野生鳥獣肉を意味しています。その歴史は古く、中世のヨーロッパ貴族の間で狩猟が高貴な趣味として広まり、そして獲物の野生動物の肉は、上流階級の人々だけが味わえる高級食材でした。ちょうど秋は、野生動物が冬に備えて栄養を蓄えるため肉質が良いことも、貴族たちの舌を満足させた理由かもしれません。セレナーデ号ではジビエ料理として鹿肉などをご用意するほか、お好みで季節の魚料理もお選びいただけます。河の流れに乗って、優雅な気分で秋の味わいをご満喫ください。
ヨーロッパでの大きなホールでは、主に春と秋にクラシックコンサートが開催されることが多く、まさに“音楽の秋”を楽しめる季節となります。今回はすべてのクルーズで、セレナーデ号のお客さまのためだけに、美しい調べをお届けする特別な船内コンサートを企画しました。
まず、Aコースのドナウ河をめぐる船旅では、「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」のメンバーによる四重奏の船内コンサートを。世界トップレベルの音楽家たちのなめらかな指使いや音の響きを間近で楽しめる、大変貴重な機会です。
また、Bコースのライン河・マイン河をめぐる船旅では、アカペラ四重唱団「シュピーツヴェグカルテット」が登場します。1,000年以上の歴史を持つレーゲンスブルク大聖堂の少年聖歌隊の出身者が結成したグループで、見事なハーモニーは必聴です。
Cコースのライン河・モーゼル河・ベルギー運河をめぐる船旅では、「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」が創設した、アカデミー所属のメンバーが弦楽四重奏を披露。世界中から選出された精鋭たちの才能あふれる演奏をどうぞお楽しみに。
各コースの寄港地観光では、ヨーロッパが誇る数々の名作との出あいも。
A1コースは、ドナウ河2回目の方でもお楽しみいただける再発見クルーズ。こちらでご案内するオーストリアのエスターハーズィー宮殿は、ハイドンが長年にわたり、楽長を務めていました。「ハイドンザール」と名付けられたホールは音響効果のすばらしさとともに、壮麗な天井画でも知られています。当時の人気フレスコ画家、カルポフォーロ・テンカッラにより描かれた天井画は、今も色鮮やかな美しさを放っています。翌日に訪れるウィーンのベルヴェデーレ宮殿では、世界最大級の収蔵数のクリムト作品を鑑賞。代表作の1つである『接吻』は必見です。
A5コースでは、ドイツの古都、ドレスデンへ。ツヴィンガー宮殿内のアルテマイスター絵画館で特に有名な作品の一つが、フェルメールの『窓辺で手紙を読む女』でしょう。背景に塗りつぶされていたキューピットの絵が修復されたことが、アート界で大きな話題となりました。
また、Bコースではドイツで最も歴史が長い美術館といわれる、フランクフルトのシュテーデル美術館へ。フェルメール、レンブラント、ボッティチェリなど、名だたる芸術家たちの作品をご鑑賞ください。
最後にご紹介するのは、C1コースで訪れるベルギー・聖バーフ大聖堂の『神秘の子羊』です。フーベルト・ファン・エイクが制作に着手しましたが、未完のうちに他界。弟のヤンが作品を引き継ぎ、完成させたといわれています。どちらがどの部分を描いたのか、未だに解明されていないという謎めいた作品の魅力を、ぜひ、その目で確かめてみてはいかがでしょうか。