イタリア特別企画「イタリア4大モニュメント貸切見学と秋のイタリアの味覚」を紹介する後編です。人気の高い4つの名所をゆったりとご見学いただくこの旅を彩るのは、イタリアの食。そこで今回は、エリアごとに食の魅力をご紹介しましょう。ツアーには秋の味覚も満載です。この秋は、歴史、芸術、食―イタリアの魅力をまるごと堪能する旅をぜひ。
「イタリアに“イタリア料理”というものはない。すべては各地の郷土料理である」―これはイタリア料理が語られる際によく聞かれる言葉です。日本でイタリア料理というと、パスタやピザといったメニューを思い浮かべがちですが、現地イタリアを訪ねてみると、この言葉のとおり、実に郷土色豊かな料理に出あいます。 今回の旅は、4大モニュメントの貸切見学とともに、そんなバラエティに富んだ各地の料理を存分にお楽しみいただく行程としました。秋の味覚を味わっていただく工夫も随所に取り入れています。
まずご紹介したいのが、フィレンツェを州都とするトスカーナ州です。秋の味覚といえば白トリュフ。特産地としてはピエモンテ州のアルバなどが有名ですが、ここトスカーナ州も良質のトリュフの収穫地で、フィレンツェ郊外ではトリュフ祭りが開催されるほど。今回の旅では、ワインの一大産地、キャンティ地方での食事で、パスタの白トリュフがけなどのメニューをご堪能いただく予定です。トリュフのなかでも希少で香りが強いとされる白トリュフですが、加熱保存に向かないうえ、香りが飛びやすいのが特徴。産地で削りたてを味わう贅沢なひと時となることでしょう。
秋のトスカーナは食の話題に事欠きません。地元の人々が心待ちにしているのが、秋に収穫されるオリーブから絞られた新物オリーブオイル。日本人にとっての新米同様、秋が近づくとイタリア人はオリーブオイルの購入を控え、新物が売り出されると同時に馴染みの農家などで購入するのだとか。「ジュースのよう」と表されることもある新物オリーブオイルは、パスタや野菜、さらにはステーキにかけたり、塩とともにパンに付けたりと、生でいただくのが一般的で、この時期はレストランでも新物オイルを使ったメニューが登場します。
この地では、ワインもぜひご賞味を。塩味の強めな料理に負けないといわれるトスカーナ州のワインは、白トリュフやポルチーニ茸などとの相性もぴったりです。
食を楽しむなら、「食通の州」といわれるエミリア・ロマーニャ州をはずすわけにはいきません。訪れるのは、バルサミコ酢を特産とする古都モデナです。この地でバルサミコ酢づくりが盛んになったのは、原料のぶどうを育てる土壌や気候、酢を熟成させる気温が適していたため。今やドレッシングやソースに使ったり、煮込み料理に加えたりと、イタリア料理全般に欠かせないバルサミコ酢ですが、伝統的なモデナの酢は、何も添加せず、長い年月をかけて熟成させた貴重なもの。100年熟成されたものもあります。ツアーでは伝統のバルサミコ酢の蔵を訪ね、その奥深い味の秘密にふれます。
このほか、「美食の都」パルマの特産、クラテッロもご賞味いただきます。豚の餌や飼育方法など、厳しい規程のもとでつくられたこの生ハムは、「生ハムの王様」とも呼ばれる高級品です。日本各地に米や麺の料理が豊富にあるように、パスタもイタリア各地に種類や調理法が異なる料理があります。モデナでは、この地が発祥ともいわれるトルテリーニをお楽しみください。
緑豊かなウンブリア州では、「天空の街」オルビエートで、豚肉の産地であるノルチャ特産のサラミとともに、名物ウンブリケッリをどうぞ。日本のきしめんのような形状のパスタで、濃いソースとの相性が抜群です。
農作の盛んなロンバルディア州にも独特の伝統料理が根付いています。州都ミラノでは、名物オッソブーコを味わっていただきます。仔牛の骨付きスネ肉を野菜などと一緒に煮込んだ料理で、秋からの季節にぴったり。ともに供されるサフラン香るミラノ風リゾットも、米がよく食べられるこの州ならではのメニューです。
この時期特有のデザートに、パネットーネがあります。イタリアでは、ドライフルーツをたっぷり入れたこのパン菓子をクリスマス前に友人や親族に配る習慣があります。日本でも徐々に知名度が上がっていますが、その発祥の地はここミラノ。今回のツアーでは、今年創業200年の老舗パスティッチェリア(洋菓子カフェ)「マルケージ1824」で軽食を召しあがっていただくとともに、パネットーネをお土産としてお持ち帰りいただきます。店は、高級ファッションブランド、プラダが自らのブランドイメージに合うとして買収した店だけあって高級感たっぷり。お食事もお土産もぜひお楽しみに。
ラツィオ州のローマでは、秋野菜として人気のアーティチョークを使った料理をお召しあがりください。日本ではあまり馴染みのない野菜ですが、現地では蒸し煮や揚げ物など、さまざまな料理に使われます。
パスタでは、日本でもよく知られるカルボナーラが、ここラツィオ州の名物。粗挽きの黒コショウを細かい炭にたとえて、「カルボナーロ」(炭焼き職人)と呼んだことからその名が付いたとか。アマトリチャーナは、アマトリーチェという村の出身の料理人がローマでつくったとされています。
今回の旅では、いわゆる高級店ではなく、地元の人々に愛される気軽なレストラン、トラットリアでのお食事を多く取り入れています。本場イタリアの各地の味を、郷土と食を愛する人々とともにぜひご堪能ください。