[ 海外特集② ]
冬の日本を飛び立ち、穏やかな季節のなかへ
暖かな南欧の島からはじまる
2025年1月~3月の旅
企画=南家知文/森脇潤/安部川帆南/我満弘充/木島将也
文=吉田千尋
新しい年を迎えたら、光あふれる南ヨーロッパを訪ねてみませんか。お届けするのは、それぞれに鮮やかな個性が煌めく“島”の物語です。海を越えて民族が行きかい、文化が交錯してきたからこそ息づく、独自の歴史。その奥深さにたっぷりとふれていただきたく、島を知り尽くした日本人ガイドが同行し、皆さまの好奇心にお応えします。2025年のはじまりにふさわしい、豊かな体験が待つ旅へ出かけましょう。
文明が絡みあう交差点の奥深さにふれる醍醐味
2月の終わり、地中海性気候で温暖なシチリア島は、ひと足早く心地良い季節を迎えます。桜のように可憐なアーモンドの花が咲き、旬を迎える柑橘類も島に彩りと香りを添えて、島全体が春の訪れを謳歌するかのようです。
明るい日射しに満ちた風景のなかをめぐる、その喜びをより一層深くしてくれるのは、ガイドの原志津子さん。これまで当社ツアーにたびたび同行しているシチリア州公認ガイドで、「原さんが一緒だから、申込みました!」という方もいらしたほどの人気ぶりです。ギリシャ、ローマ、アラブ、ノルマンなどさまざまな民族が支配したシチリア島の歴史は、とても複雑で重層的。モザイクのように絡みあうその魅力を、豊富な知識でわかりやすく解きほぐしてくれます。
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雪をいただくエトナ山とギリシャ劇場の眺めは格別
エトナ山周遊鉄道など目が離せない絶景の連続
ガイドするだけでなく、旅づくりからさまざまなアイディアを提供してくれる原さん。だからこそ、いわゆる定番の観光地だけではない体験を楽しむことができます。エトナ山をめぐる周遊鉄道も、その1つです。
雪をまとったエトナ山の姿は富士山によく似ていますが、その裾野には想像をはるかに超える世界が待っています。牧歌的なオリーブ畑が続いたかと思えば、荒々しい溶岩台地が現れ、エメラルドの海が広がる……。次々と車窓を彩る変化に富んだ景色に、思わず夢中になってしまうひと時です。
世界遺産めぐりも、こだわりが詰まっています。古代ギリシャ都市で知られるシラクーサのほか、観光客があまり訪れることのない街も丹念に観光。先史時代から陶器づくりが行われてきたカルタジローネ、古代ローマ時代の別荘跡に残るモザイク画が圧巻のピアッツァ・アルメリーナなど、知る人ぞ知る歴史に魅了されることでしょう。
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溶岩台地やぶどう畑など変化に富んだ景色が次々に現れるエトナ山周遊鉄道
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海沿いの街チェファルーからは約2時間にわたる絶景シーサイド列車の旅へ
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多彩な文化によって編み出された美食時間もたっぷりと
優雅なリゾート地と遺跡の街という多彩な顔を持つタオルミーナでは、老舗ホテルである「エクセルシオール・パレス」のエトナ山とイオニア海を望む客室で3連泊という贅沢な滞在も。ゆとりある11日間という日程のなかでたっぷりと味わえるシチリアの奥深さを、ぜひご堪能ください。
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富士山を思わせる美しい稜線のエトナ山とギリシャ遺跡の街タオルミーナでゆったりと3連泊
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客室のバルコニーからエトナ山とイオニア海を望む絶景ホテル「エクセルシオール・パレス」
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目抜き通りはホテルから徒歩圏内(タオルミーナ)。街歩きやお土産探しも楽しい
日本では知られざる秘島を連泊でじっくりとめぐる
華やかな装飾をまとい、通りを駆け抜ける馬。手綱を握るのは、神秘的な白い仮面を付けた騎士。年に1度のカーニバルが催されるこの日は島中の人が集まり、街は熱気に包まれます。
地中海のほぼ中央に浮かぶ、サルデーニャ島。ヨーロッパの人々に人気の高いリゾートですが、日本ではあまりなじみがありません。今回お届けするのは、まだ見ぬイタリアの魅力があふれるこの島だけを、じっくりと連泊しながらめぐる個性的で贅沢な旅です。島最大のカーニバルである「サルティリア祭」に合わせた日程で、観光客が多いリゾートシーズンとは異なる、人々の素顔にもふれていきます。
海洋の重要拠点として複雑に織り成された文化をひもといてくれるのは、サルデーニャ州公認ガイドで2004年からこの島で暮らしている加藤佐和子さんです。多様な文化が絡みあう背景を知るほどに、“自然豊かな美しいリゾート”だけではない島の魅力に、惹きつけられていくことでしょう。
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島最大のカーニバルでは仮面をつけた騎士が登場 写真提供:サルデーニャ州公認ガイド 加藤佐和子
迫力に満ちた歴史ある祭典を 観覧席で快適に観賞
中世に起源を持つサルティリア祭。厳かな空気のなか、女性たちの手によって衣装を着せられるのは、コンポニドーリと呼ばれる騎士団のリーダーです。白い仮面は純潔な騎士である証。カーニバルが終わるまで、けがれの多い地面に決して足を下ろすことなく、馬上で役目を果たしていきます。
最も盛りあがる見どころは、騎手が疾走しながら、通りに吊るされた星型の的を剣で射抜き、その結果で収穫を占う「コルサ・アッラ・ステッラ」。イタリア版の流鏑馬といえるもので、迫力満点です。騎手3人組が馬上で離れ技を披露するアクロバット「パリリエ」にも圧倒されることでしょう。会場には多くの人が押し寄せますが、当社ツアーでは混雑の気にならない観覧席で快適にお楽しみいただけます。
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イタリア版流鏑馬の「コルサ・アッラ・ステッラ」でカーニバルは最高潮に ©Archivio Fondazione Oristano
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伝統衣装を身に着けた人々のパレードは中世にタイムスリップしたかのよう ©Gian Luca Sgaggero
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猛スピードの馬上で驚きの技が披露されるアクロバット「パリリエ」 ©Archivio Fondazione Oristano
祭りが開催されるオリスターノ、歴史ある州都カリアリ、「イタリアの最も美しい村」に加盟しているカステルサルドなど、それぞれに個性あふれる街をじっくりとめぐることができるのも大きなお楽しみです。たとえば風光明媚なアルゲーロでは、バルセロナなどを含むスペインのカタルーニャ地方で使われる言語を看板などに見ることができます。島のなかでも立地などの違いから、それぞれの歴史を重ねてきたことがうかがえる光景です。
バルーミニにある、ヌラーゲと呼ばれる要塞のような遺跡の1つ「スー・ヌラージ」も見逃せません。石を塔のように積みあげた建造物は今も謎が多く、この島の奥深さを物語ります。
知られざる魅力にあふれたサルデーニャ島を、じっくりと深掘りできる8日間。イタリアをめぐり尽くした方にも、ぜひおすすめしたいツアーです。
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風情ある街並みが魅力の州都カリアリ
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地中海を望む美しい村カステルサルドの散策もお楽しみ
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今も多くの謎を残す、バル―ミニのヌラーゲ「スー・ヌラージ」 ©Norbert Nagel
暖かな南欧の島からはじまる2025年1月~3月の旅
スペインとの直行便再開!今こそ行きたい魅惑の島々
“ヨーロッパのハワイ”といわれる常春のリゾート。緑あふれる一方で、人々を拒むように乾いた大地も。北西アフリカ沖に浮かぶスペイン領カナリア諸島は、いくつもの異なる表情が7つの島に散りばめられています。この旅で訪れるのは、特に鮮烈な個性を放つ4島です。この秋、スペインと東京を結ぶイベリア航空の直行便が約4年半ぶりに再開されることを記念し、マドリード乗り換えで快適にアクセスできる待望のツアーを実現しました。
全行程で同行するのは、カナリア諸島で唯一の日本人ガイド、板垣奈緒さんです。20年以上の現地生活で磨きあげられた板垣さんの経験と知識にふれることで、スペインともアフリカとも違う個性的な島々の旅が、より深く豊かになることでしょう。
中南米のモデルになった街や 月面を思わせる島の風景も
心浮き立つカラフルな街と、圧倒的な存在感を放つ火山。最初に訪れるテネリフェ島では、1つの島とは思えないほど変化に富んだ景色が次々と現れます。サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは、大航海時代に植民地だった中南米の、都市づくりのモデルとなった街。キューバなどを思わせる彩りの家々に意外な印象を持ちますが、実はこちらが先というわけです。
島の中央にそびえるテイデ山は、標高3,715メートル。本土も含めてスペイン最高峰です。東西約15キロにもおよぶ巨大なカルデラは、緑豊かな外側と、荒涼とした内側の大地をくっきりと分けています。山頂近くまで登るロープウェーで、火山活動がもたらした絶景を堪能しましょう。
ヨーロッパ屈指のリゾートという顔を持ちながら、月面に降り立ったかのような異世界を体験できるのが、ランサローテ島です。300年ほど前の大噴火からほぼそのままの景色をとどめているティマンファヤ国立公園で、溶岩台地に無数のクレーターが広がる不思議な光景を目の当たりにすることができます。この厳しい環境のなかで育まれた、広大なぶどう畑も圧巻です。強風から1つひとつの苗木を守る石垣が、まるで波のように広がる光景に、思わず息を呑むことでしょう。
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300以上のクレーターが広がる月面のような姿のランサローテ島
多様な植生や景観から“ミニチュアの大陸”と呼ばれ、中央部の山と南部の砂丘のコントラストに驚かされるグラン・カナリア島。コロンブスが幾度となく訪れたラ・ゴメラ島では、太古の月桂樹の森が広がるガラナホイ国立公園が幻想的な世界に誘います。
4つの島それぞれが1つの国のように異なる、カナリア諸島の旅。新年を迎えたばかりの1月、快適なアクセスで楽しめるこの機会に、魅力あふれる“常春の楽園”を満喫しましょう。
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独特の枝ぶりが印象的な竜血樹は、カナリア諸島が原産
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テネリフェ島の美しい村ガラチコで散策を楽しむ
夜は揺らめく光で宇宙の神秘にふれ、日中は壮大な地球の鼓動を体感する、“島国”アイスランドの旅はいかがでしょう。
太陽活動が盛んになる2025年は、オーロラが出現しやすくなるといわれています。この旅では、合計5夜にわたるオーロラ観賞の時間をご用意しました。舞台となるのは、敷地内で神秘の光に出あえる2つのホテルです。周囲に明かりが少なく、世界遺産などの観光拠点としても最適な「グリムスボルギル」と、遮るもののない大平原で夜空を独占できる「ホテル・ランガ」。移動せずとも観賞できる気軽さに加え、オーロラの出現が午後8時から深夜0時頃と比較的早めであること、極地でありながら暖流の影響でさほど気温が低下せず、日本での防寒着で十分に対応できるという快適さもアイスランドならではの魅力です。
“火と氷の島”といわれるこの国の魅力は、オーロラにとどまりません。東西の大陸プレートが大地を引きあってできた“地球の裂け目”を歩いたり、氷河を水源とする豪快な滝を目の当たりにしたりと、大地が織り成す絶景も満喫します。火山活動が伝えられるアイスランドですが、噴火の影響があるエリア以外は平常通りですのでどうぞご安心ください。
躍動感あふれる大自然、そして特等席で眺めるオーロラ。ダイナミックな体験が詰まった島国へ、出かけてみませんか。
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遮るものがなく、夜空を堪能できる「ホテル・ランガ」
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「グリムスボルギル」では開放感のあるスーペリアルームに滞在
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“大露天風呂”ブルーラグーンでは溶岩台地の大パノラマが広がる