秋も深まる頃、穏やかな日射しと美しい紅葉に誘われて気軽な旅に出かけてみませんか。11月から12月にかけて輝きを増す関東周辺の紅葉の名所をめぐるバス旅をご紹介。各地で澄んだ空の下、気軽にゆったり日本の秋を満喫いただけます。
茨城県大子町にある袋田の滝は、大岩壁を4段に落下することから「四度の滝」とも呼ばれ、日本三名瀑といわれる堂々たる滝です。紅葉の見頃には特に人気の名所ですが、公共の交通機関を利用して個人で訪れるには少し訪れにくい場所かもしれません。駐車場でバスを降り、長さ276メートルの「袋田の滝観瀑トンネル」を進みます。トンネルを抜けると高さ約120メートル、幅約73メートルを誇る滝が轟音とともに目の前に現れます。平安時代の歌人・西行法師に「花もみち経緯(よこたて)にして山姫の 錦織出す袋田の瀧」と歌われた、岩肌を流れ落ちる滝は見飽きることがありません。
袋田の滝を訪れる旅は2コース。最初にご紹介するコースは、袋田の滝を訪れる前日に紅葉の名所・花貫渓谷を訪れます。モミジやカエデ、ブナなど鮮やかに色づいた木々に彩られ、淵と滝が連なる花貫渓谷は圧巻。なかでも渓谷にかかる全長約60メートルのつり橋は、まさに紅葉のなかに続く1本の道。つり橋を歩けば、上下左右にせり出した色とりどりの木々と、眼下の川が織り成す見事な眺めの一部になったような気分が味わえます。
次にご紹介するコースは、袋田の滝に加え、日本最大級の長さを誇る歩行者専用つり橋「竜神大吊橋」を訪れます。四季折々の自然の美しさで知られる竜神峡。そこを流れる竜神川をせき止めてつくられたのが竜神ダム。そのダムに架けられた橋は全長約446メートル、高さはダム湖面から約100メートルもあります。橋からの眺めはもちろん抜群。色づいた木々に覆われた周囲の山々と深く美しい渓谷が織り成す景色を楽しみながらゆっくり渡りましょう。途中で足元に設けられた「のぞき窓」に気づかれるかもしれません。全部で3カ所にあるこの小さな窓からは、真下に広がる湖面の様子を見ることができます。
例年11月半ば、箱根の紅葉が見頃を迎えます。箱根ならではの見事な紅葉を満喫する2つの旅をご紹介します。まずご紹介するのは、箱根登山電車を1両貸切り、混雑なく紅葉を満喫する旅。毎年この時期の箱根には、紅葉を楽しもうと国内外から多くの観光客がやってきます。なかでも車窓から目の前に迫る紅葉を眺められる登山電車は大人気。見頃の時期は乗車待ちの時間も長くなり、乗車中もほぼ立ったまま、混み合ったなかでの窮屈な観光となってしまいます。しかしこのツアーは、紅葉の見頃が予想される日程で登山電車を1両貸切るので、周囲の喧騒とは無縁です。静かな環境で、車窓にふれるほど近くをゆっくりと過ぎていく紅葉を、存分にお楽しみいただけます。皆さまにゆったりお座りいただけるのはもちろん、車内を自由に移動しながら風景をご覧いただくこともできます。昨年のツアーのお客さまからは「絵画のなかを進んでいるようだった」「登山電車と紅葉を満喫できた」と大変好評でした。
お泊まりは定評のある「箱根小涌園天悠」。空と温泉が一体となり、まるで空に浮いているような感覚を味わえ、雄大な眺望が楽しめる大浴場の絶景露天風呂が自慢のお宿でゆっくりお寛ぎください。
箱根の紅葉を満喫するもう1つの旅は、芦ノ湖の海賊船や箱根 駒ヶ岳ロープウェーなど乗り物を利用して、お疲れなく景色を満喫しながら秋の箱根めぐりを楽しみます。お泊まりは今年2月に開業した全5室の「仙石原古今」。広い庭園に面した5室すべてが眺望の良い広々としたスイートルームです。いずれも、大涌谷から引かれた温泉が張られた浴槽、プライベートサウナや水風呂も完備の贅沢な客室で、ゆったりと滞在したい隠れ家ホテルです。夕食は全国の選りすぐりの素材を用いた「仙石原古今」ならではの旬を感じるフランス料理をお楽しみいただけます。
最後に11月から12月、温暖な伊豆が舞台の2つの旅をご紹介します。まずは、伊豆半島東沿岸の河津を訪れる旅です。天城連山から流れ出た河津川上流に7つの滝があります。河津では滝のことを「たる」と呼ぶので、「七滝」は「ななだる」といわれています。
今回は七滝すべてをめぐるのではなく、一番上流にある釜滝からカニ滝まで5つの滝を、ガイドとともに清流沿いに続く遊歩道を歩いてめぐります。落差約22メートルの釜滝では、展望デッキから迫力満点の景観をすぐ間近に眺めることができます。「踊り子と私」の像がある初景滝は撮影ポイント。高さ2メートルほどのかわいらしいカニ滝も白い流れと木々とのコントラストが美しく思わずカメラを向けてしまいます。それぞれ趣の異なる滝の姿に癒されつつ、約60分の散策をお楽しみください。ご希望の方は一番下流の大滝まで自由散策でお楽しみいただくこともできます。
お宿は「観音温泉ピグマリオン」。源泉は奥下田の地下から湧く単純泉。トロトロとした感触の美肌の湯として知られています。翌日はロープウェーで寝姿山頂上へ。秋景色の高原ドライブものんびりと楽しみます。
2つ目にご紹介するのは、修善寺温泉に滞在してゆったり過ごす旅です。お宿は閑静な竹林に囲まれた格調高い「柳生の庄」。居ながらに、季節の移り変わりを告げる自然を愛でることができる宿です。お部屋で源泉かけ流しの温泉と、元東京白金の料亭「柳生」のお食事をゆったりとお楽しみいただけます。また、宿に向かう途中で立ち寄る「MOA美術館」の「茶の庭」、そして2日目に訪れる小松宮彰仁親王の別邸だった「楽寿園」でも、2024年の見納めとなる紅葉をご覧いただけることでしょう。年末年始を迎える前に、日常を離れ静かな休日をお過ごしください。