[ 国内特集② ]

能登半島を旅で応援するプロジェクト

「一本杉 川嶋」川嶋大将の
1日料理長
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「花紫」貸切りで堪能する
1夜限りの晩餐会

企画=黒木貴士/大川喜史/笠原晴香 文=吉田千尋
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「あの日のたった1分ちょっとの地震で、私たちの暮らしは一変しました。町も自宅も、そしてお店も、一瞬で壊れてしまいました。しかしながら、私たちが取り組んできたことは失われていませんし、何より仲間がいることが1番の希望でした」

──決してあきらめることなく歩みを進める、日本料理店「一本杉 川嶋」大将の川嶋亨さんの言葉です。

復興への険しい道のりが続く能登。美しく豊かなこの地へ皆さまをご案内してきた旅行会社の使命として、私たちができることは何か。その答えが、「旅で応援すること」でした。第1弾として、川嶋大将を同じ北陸の名宿「花紫」にお招きし、能登の冬を堪能する晩餐会を開催します。

北陸の観光と復興を支え、旅が生み出す幸せの循環。皆さまのご参加が、能登の力に!

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故郷を愛する想いから生まれた日本料理店「一本杉 川嶋」

京都などの名店で腕を磨いた川嶋亨さんが、故郷である石川県七尾市に戻ってきたのは4年前、2020年夏のこと。賑わいを失っていた町を“食”の力で活性化したいと考え、日本料理店「一本杉 川嶋」を開業しました。

万年筆店だった名残を窓のデザインなどに残すモダンな建物は、昭和7年建造の有形文化財。幼い頃からなじみ深かった地域のシンボルを選び、店名に「一本杉」という町の名を冠したのも、すべてはこの地が祇園や銀座のような、全国区のブランドになってほしいという熱い想いからでした。

美しい景観と食材の宝庫である地元の可能性を信じて1歩踏み出した、若き料理人。その力強い挑戦と繊細な手仕事は瞬く間に美食家たちの心をつかみ、国内外からファンが訪れる“予約の取れない名店”へと成長していきます。町おこしとして立ち上げた食のイベントも大成功。七尾の魅力が広く知られるようになりました。

  • イメージ イメージ 生産者の想いが詰まった能登の食材を使い、その味わいを丁寧に引き出して地元の魅力を発信し続ける
  • イメージ イメージ 店名に入れた「一本杉」には、この町の名をブランドとして広げたいという願いが込められている
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仲間がいるという希望を胸に 復興へ向けて歩み続ける

川嶋さんの次なる挑戦は、こだわりのオーベルジュ。以前は呉服店だった隣の建物を、宿泊施設としてよみがえらせる計画がはじまります。大切に守られてきた歴史ある佇まいを活かしながら改築を進め、ここからまた多くの笑顔が生まれる喜びに胸を膨らませていた時、あの震災が起こりました。

外壁が崩れ落ち、建物全体にひびが入った「一本杉 川嶋」。今春に開業予定だった宿泊施設は完全に傾き、解体を余儀なくされることに。壮絶な悲しみと悔しさのなかで、川嶋さんは料理人仲間と奮起し、自店の状況を後回しにして炊き出しをはじめています。

「私たちが取り組んできたことは失われていない。何より仲間がいることが1番の希望」──川嶋さんの言葉通り、私たちも未来を拓くのは“絆”の力と信じ、能登の方々とつながりながら支援を続けていきたい。そんな想いを込めてお届けするのが、「能登半島を旅で応援するプロジェクト」です。

  • イメージ 店舗(右)は今も修復が進まない。改築中だった宿泊施設(左)は解体に
  • イメージ 7月上旬、NPO法人の支援で料理人仲間が一堂に会し、食フェスを開催!全国からファンが訪れて 大盛況の2日間に
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夕食時に地元の銘酒も楽しめる この日だけの特別プラン

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「いつか川嶋さんの企画をやりたいね、と語りあっていました」と期待を込めて話してくれたのは、北陸随一の眺望といわれる宿「花紫」を経営する山田屋代表・山田耕平さんです。同世代の川嶋さんとはかねて親交があり、常に刺激を受けていたと言います。

本プロジェクトの第1弾は、川嶋さんと山田さんの深い絆から実現しました。「花紫」を全館貸切り、川嶋さんを招いて1日料理長を務めていただくという、能登の魅力を贅沢に堪能できるひと時です。

  • イメージ イメージ 広大な敷地にわずか27室、贅沢なゆとりに包まれる「花紫」をこの旅のお客さまだけで貸切りに

開湯して1300年ほどといわれる山中温泉に佇む老舗旅館「花紫」。1歩足を踏み入れると、伝統的な日本建築と、モダンなデザインが融合したこだわりの空間が広がります。すべての客室からは名勝・鶴仙渓を望むことができ、雄大な景色に心を委ねながらゆったりと寛ぐ時間は格別です。ギャラリーや茶房では、石川文化が薫る工芸品などもご覧いただけます。

  • イメージ イメージ 越前和紙の間仕切りや加賀水引の装飾など、日本の美意識が漂うダイニング
  • イメージ 全客室から、鶴仙渓の眺めをゆったりと堪能できる。喧噪を忘れ、心やすらぐひと時を
  • イメージ 季節の移ろいを体感できる最上階の露天風呂から、雄大な渓谷美を望む

そして夜は、川嶋さんが腕を振るう晩餐会。冬の味覚の代表ともいえる蟹をはじめ、旬を迎えた海の幸を、目にもおいしいひと皿に仕立てた懐石料理をお召しあがりいただきます。さらに「花紫」が厳選した地元石川の銘酒も取り揃え、今回は特別に夕食時のドリンクとしてご賞味いただけるプランとしました。能登の美味と美酒に心酔わせる1夜を、ぜひご堪能ください。

「川嶋さんは震災直後から復興に力を注ぎ、多くの人を励まし続けています。彼との約束を実現するこのプロジェクトは、能登の復興への想いを込めた特別な企画です」と語る山田さん。私たちは、今後もさまざまなご縁を通じて幅広く能登の支援を続けていきます。願いを込めたプロジェクトへのご参加を、心よりお待ちしています。

  • イメージ イメージ 朝焼けに染まる湾内の向こうに見えるのは、能登島と七尾市を結ぶ「能登島大橋」
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能登の冬を満喫する
「殊の旅」「憧の旅」 魅力あふれる3つのコース

特別な晩餐会をメインとする今回のプロジェクトでは、多彩な観光を盛り込んだ「殊の旅」2コースと「憧の旅」1コースの計3コースをご用意しました。

1つ目は、1泊2日のスケジュールに上質な時間を散りばめた「殊の旅」。高さ約13メートルの大作「九谷焼ビッグモニュメント」では内部を特別に見学し、2日目は山中座芸妓による舞台裏ツアー&プライベート公演をお楽しみいただきます。ランチはフランス料理店「ア・ラ・フェルム・ドゥ・シンジロウ」で、能登の生産者や酪農家などを支援する特別なメニューをどうぞ。このコースの宿泊では、「花紫」で新たにつくられた非公開のスイートルーム(10月より一般オープン)もお選びいただけます。

2つ目は、プレミアムクルーザーで満喫する2泊3日の「殊の旅」。10席のみのラグジュアリーバスで飛騨・加賀をめぐり、2日目に「花紫」でのひと時をお過ごしいただきます。

  • イメージ 「ラ・クロシェット」橋田シェフが創造する能登の豊かな恵みから生まれたフランス料理を堪能
  • イメージ わずか10席、ゆとりの空間で優雅に移動できるプレミアムクルーザーの旅では、白川郷なども訪ねる

最後にご紹介するのは、ときめきの感動体験へと誘う1泊2日の「憧の旅」です。初日は、九谷焼の技を伝承する福島武山工房へ。赤い絵の具のみで繊細な絵付けを施す「赤絵」の第1人者を訪ねます。

「花紫」での一夜を満喫し、翌日は能登へ。日蓮宗本山の妙成寺で、特別拝観のひと時をお楽しみいただきます。これまで一般の拝観者が立ち入ることができなかった建立およそ400年の重要文化財「祖師堂」への入堂、内陣での「日蓮聖人像」の御開帳などを、僧侶の案内付きでご堪能ください。

その後は、能登の食材を使ったフランス料理の名店「ラ・クロシェット」でご昼食をお召しあがりいただきます。腕を振るうのは、自らも被災しながら、川嶋さんの声掛けで炊き出しに参加していたシェフ・橋田祐亮さんです。現在は安全対策を行ったうえで、特別営業を再開しています。ペアリングのドリンクとともに、冬のスペシャリテ「香箱蟹」をお楽しみください。

  • イメージ イメージ 「ア・ラ・フェルム・ドゥ・シンジロウ」の上質な空間で能登応援メニューのランチタイムをゆったりと
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能登へ出向き、想いを込めて
川嶋大将と準備を進めています
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川嶋さんと打ち合わせを重ねてきたプロジェクトの企画メンバーで、9月に七尾を訪れました。7月にようやく復旧した、金沢と能登をつなぐ「のと里山街道」を走り、「一本杉 川嶋」へ。比較的被害が少ない七尾市内でも休業している店舗が多く、復興にはまだまだという印象を持ちました。

しかし、そのような状況のなかで川嶋さんから出てきた言葉は、「このような企画のお話は本当に心強いです」と感謝の意。奥さまとご一緒に元気な姿を見せてくださり、胸が熱くなりました。川嶋さんご夫妻とお話ししていると、「皆さまとのご縁」や「つながる絆」など、端々に前向きなお言葉が出てきます。厳しい現状のなかでも前を向き、信念が伝わってくる強い眼差しで未来に向かって歩むご夫妻の姿に、我々も身が引き締まりました。そして、このプロジェクトを通じてなんとか力になりたいという気持ちが、より一層強くなりました。

能登半島を応援するプロジェクトは今回を皮切りに、長期的なサポート支援を考えています。今回の訪問は川嶋さんへ改めて我々の想いをお伝えし、プロジェクトの意義についてお互いに再確認する貴重な機会でした。今後の川嶋さんとの企画も、どうぞご注目ください。

  • イメージ イメージ 能登の未来について語る、川嶋さんご夫妻(右)と企画担当・黒木(左)
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