勇ましい甲冑をまとった家臣たちが、ずらりと並んでお出迎え。広い空に響きわたるのは、鉄砲隊が放つ祝砲と太鼓演奏……。法螺貝の音とともに、大洲城へ威風堂々と入城。それは、まるで江戸時代にタイムスリップしたような光景です。この春は愛媛県の大洲市を訪れ、ここでしかできない体験が詰まった旅へ、いざ。 “伊予の小京都”と呼ばれる大洲市は、中央に清らかな肱川が流れ、江戸から昭和期の情緒あふれる古い町並みが残る城下町。国際認証機関「グリーン・デスティネーションズ」が認証する「世界の持続可能な観光地100選」に2022年から2年連続で選出され、ストーリーアワード「文化・伝統」部門で栄えある世界1位にも輝いています。
町のシンボルは風格ある大洲城。地元の人々の想いと協力により、一度失われた天守が往時の姿のとおりに復元されたお城です。木造の内部には数々の伝統技法が取り入れられ、復元に携わった職人の心意気を感じることができます。解体をまぬがれた4棟の櫓は、国の重要文化財に指定されています。お城がある城山公園は桜の名所でもあり、人々の憩いの場所。天守からは城下町とともに蛇行する肱川を見渡すことができます。
今回、自然とともに独自の歴史や文化が残る大洲を訪れる2つのプランをご案内します。まるで城主になったかのような特別体験ができる「NIPPONIA HOTEL 大洲城下町プラン」と、日本初の“天守に泊まる城泊体験”ができる「大洲城キャッスルステイプラン」です。どちらのプランも、1日目にはご紹介した入城体験をすることができます。これは、大洲藩初代藩主・加藤貞泰の城入りの様子を再現したもの。大洲の文化や歴史にふれてもらいたいという地元の方々の願いが込められたおもてなしです。また2日目には、肱川に臨む景勝地につくられた重要文化財「臥龍山荘」を貸切りにして、美しい庭園を眺めながら朝食をお楽しみいただき、山荘の見学もゆったりと。大洲市の認定案内人による「まち歩きツアー」や、貸切船で肱川の遊覧もご堪能ください。
お泊まりいただく「NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町」は、城下町全体を1つのホテルと見立てた分散型宿泊施設。
客室やフロント、レストランなどの役割を持った建物が町に点在しているので、自ずと町を回遊することとなり、地元の人や町の風土にふれる時間が生まれます。宿泊棟は全26棟。登録有形文化財をはじめ、木蝋で財を成した豪商の邸宅や蔵、創業から300年以上続く元料亭など、大洲の歴史を刻んだ邸宅が悠久の時を経て31室の上質な宿へと生まれ変わりました。当時の趣を残したまま、モダンにリノベーションされた空間で、まるで大洲の城下町で暮らしているような寛ぎのひと時をお過ごしください。お食事は、大洲城を間近に望む「レストラン ルアン」でフレンチと和の創作フレンチコースを。愛媛伝統の砥部焼に盛り付けられた、地元の海、山、川の幸をふんだんに取り入れた料理を心ゆくまでお楽しみいただけます。
天守に泊まることができる「大洲城キャッスルステイプラン」は、1日1組限定。夕食はおもてなしの饗応料理として、初代城主加藤貞泰が食したであろう献立に、現代の技法を加えて表現。代々の城主が感じた時間と空間を疑似体験できる旅は、生涯忘れられない思い出深いものとなることでしょう。
今回の旅は、例年桜の見頃となる季節。大洲城と桜の共演も期待できます。大洲の城下町に溶け込むように時間を過ごし、ここでしかできない文化体験を通して町の魅力を味わい尽くす春の旅。大人の城下町遊びで非日常の世界に浸ってみてはいかがでしょう。