[ 海外特集① ]
来夏は日本を抜け出しませんか?
涼を求めて
夏のカナダ、アラスカへ
企画=原田優美子/木村聡/寺澤欣吾
文=佐藤淳子
今年も猛暑に襲われた日本。蒸し暑いこの日本を脱出したい!と思われた方も多いのではないでしょうか。そこで来夏の旅としてご用意したのが、北海道よりずっと緯度の高いカナダやアラスカを訪れる5つの旅です。来年こそ日本を抜け出し、しばしの涼を求めて北米大陸を旅してみませんか?
青い海と空、赤土、緑の草原 物語そのままの美しい光景
好奇心旺盛で想像力豊かな赤毛の少女が、楽しい事件を巻き起こしながら、生涯の友と出あい、大人の女性に成長していく様を描いた『赤毛のアン』。その物語の舞台となったのが、作者ルーシー・モード・モンゴメリの故郷でもあるカナダのプリンス・エドワード島です。村岡花子の翻訳により、日本にもこの物語のファンが大勢生まれました。魅力的な人物描写はもとより、そこに描かれていた架空の小さな村、アヴォンリーの自然の豊かさに心奪われ、憧れを抱いた人も少なくないのではないでしょうか。
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プリンス・エドワード島は『赤毛のアン』の作者モンゴメリの生まれ故郷。6月には可憐な草花が島を彩る
来年は、この物語の舞台であるプリンス・エドワード島を訪れる旅を、6年ぶりに催行する予定です。訪れるのは、リンゴの花、デイジー、ルピナスなど、可憐な花々が島を彩る6月。この時期の州都シャーロットタウンの平均気温は最高20度、最低10度と過ごしやすく、涼風吹き抜ける高原のような爽やかな気候です。
島には、アン同様、風を感じながらフェリーで渡ります。出迎えてくれるのは、青い空と海、島を覆う赤土、緑の草原、色とりどりの花々。原作そのままの、絵に描いたような世界が広がっていることに驚かれることでしょう。
物語ゆかりの地を訪ね 島特産の豊かな食に舌鼓
アヴォンリー村のモデルとなったキャベンディッシュでは、アンを引き取った老兄妹の家「緑の切妻屋根の家」のモデルとなったグリーン・ゲイブルズ・ハウス、アンが物語のなかで名づけた「恋人の小径」や「お化けの森」、モンゴメリの生家や墓など、物語や作者にまつわる場所の数々をめぐります。清々しい空気のなか、澄んだ心をもつアンの世界を存分に味わっていただけるでしょう。
自然の恵み豊かな島の食も旅の楽しみの1つ。ゴーダチーズなどの乳製品、ムール貝、溶かしバターでいただくロブスター、名産のジャガイモを使った多彩な料理をぜひお楽しみください。
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緑の切妻屋根が目印のグリーン・ゲイブルズ・ハウス
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キャベンディッシュは、物語の舞台であるアヴォンリーのモデルとなった村
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アンが養父マシューを待ったブライトリバー駅を彷彿させるケンジントン駅
雄大な山々を歩かず味わう「ゆったり度3」のらくらく旅
3,000メートル級の岩山が連なるカナディアンロッキー。地球の壮大な歴史を感じさせてくれるこの山岳地帯を、緑が輝き、大地を花々が彩る夏に訪れる旅はいかがでしょう。夏といっても、緯度の高いこの地は涼やか。清涼な空気のなか、壮大な景観をお楽しみいただけるはずです。
この旅には、もう1つ特筆すべき点があります。それは、歩く距離を極力短くした「ゆったり度3」の旅であること。たとえば、バンフ国立公園最大級の湖、ミネワンカ湖は、ボートで観光します。風を切って湖面を進む約1時間のクルーズは爽快そのもの。雄大なロッキーの山々を見渡すサルファー山の山頂へは、翠緑の景色を眼下に見ながらゴンドラで。展望台から360度の大パノラマを堪能しましょう。アサバスカ氷河には雪上車で訪れ、氷河の上に降り立つという貴重な機会をお楽しみいただきます。
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ミネワンカ湖ボートクルーズ。湖面をそよぐ風が爽快
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雪上車で訪れたアサバスカ氷河では氷河に降り立つ貴重な体験を
ハイライトは、ヘリコプターでの遊覧飛行です。氷河とともにロッキーの景観を特徴づけるのは美しい氷河湖。氷河に削られた地表の泥が細かい粒子となって混じった湖水の色は多彩です。山々の間でそれぞれの色に輝く湖を上空からとくとご覧ください。
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ヘリコプターでの遊覧飛行。壮大なカナディアンロッキーを見下ろす ©Noel Rogers
この旅では滞在場所も厳選しました。旅のはじめには、山脈の東側に建つ人気の「カナナスキス・マウンテン・ロッジ」に2連泊。2008年に続き、来年のG7サミット(主要国首脳会議)の開催地にも選ばれている高級リゾートで、併設のスパ施設では、有料ながら温泉もご利用いただけます。バンフでは、街の中心まで徒歩圏内という便利な立地にある「ザ・フォックス・ホテル・アンド・スイーツ」にゆったり3連泊します。
余裕の旅程と乗り物で、夏のカナディアンロッキーを満喫ください。
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壮大な自然のなかに建つ「カナナスキス・マウンテン・ロッジ」
涼を求めて 夏のカナダ、アラスカへ
11年周期のオーロラの当たり年に聖地イエローナイフ4連泊
人生に1度はオーロラを見たい。そんな夢を抱かれている方にぜひおすすめしたいのが、来夏のイエローナイフへの旅です。カナダ北西部、ノースウェスト準州の州都であるこの街が「オーロラの聖地」と呼ばれるのは、文字どおりオーロラがよく観測できるため。海から遠く空気が乾燥していることから晴天率が高く、過去数十年のデータでは、3夜連続で観賞した場合、95パーセント以上の確率で最低1回は見られています。さらに、今年から来年にかけては、太陽の活動が最も活発になるとされる11年周期のオーロラの当たり年でもあり、通常より大規模なオーロラの出現が期待できるのです。
来夏の旅では、このイエローナイフに4連泊し、4回の観賞にチャレンジします。旅の時期は8月と9月。この季節ならではのメリットの1つは気温です。冬はマイナス30度ほどになるイエローナイフの、この時期の平均最低気温は8月が10度、9月でも4度ほど。日本で着る冬服で問題ありません。オーロラの出現を待つのは「ティーピー」と呼ばれる先住民のテント。暖炉で暖められた快適なテント内でゆったりとオーロラの出現をお待ちください。テントは貸切りで、観賞用の椅子も確保しているので、ご自身のペースでお楽しみいただけます。
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専用施設「オーロラビレッジ」に設置されたテント
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当社のお客さまだけでテントを貸切り、各人に専用の椅子をご用意
湖が凍らない夏だからこそ見られる景観もあります。空に広がる光のカーテンが湖面に映し出される、圧巻の「逆さオーロラ」を期待しましょう。
体の負担の少ない旅程もおすすめのポイントです。オーロラ観賞の旅では、イエローナイフから同日乗り継ぎで帰路につく旅程が一般的ですが、当ツアーは、バンクーバーで1泊する無理のないスケジュール。気候も旅程も体にやさしいオーロラの旅をぜひお楽しみください。
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湖面に壮大な天体ショーを映し出す「逆さオーロラ」は、この時期限定の貴重な光景
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滞在はイエローナイフの象徴的存在である「エクスプローラーホテル」
ユーコンの大地が赤く染まりオーロラが舞う“奇跡”の季節
カナダ北西部、アラスカと国境を接するユーコン準州では、日本の夏にあたる8月末から9月初旬、束の間の秋が訪れます。この刹那の時期は、旅人にとって、奇跡ともいえる季節。それは、ツンドラの大地を埋め尽くす紅葉と、夜空に舞う神秘のオーロラという、世にも美しい2つの光景が1度に楽しめる時期だからです。
低木の葉が真紅や朱色に染まって、見渡す限りの大地を埋め尽くす。まさに紅葉絨毯と呼ぶにふさわしい光景と、ギザキザに尖った花崗岩の峰々が鮮やかなコントラストを見せるのは、北部のツンドラ地帯に広がるトゥームストーン準州立公園です。世界でも極北のこの一帯、しかもこの時期にしか見られない光景を、ぜひ目に焼きつけてください。
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見渡す限り紅葉の絨毯が広がるトゥームストーン準州立公園
オーロラが頻繁に発生する「オーロラベルト」の下に広がるユーコン準州は、当然のことながら世界有数のオーロラスポットとして知られます。オーロラが見られるのは、夜が長くなる8月末から翌年4月にかけて。なかでも夏から秋にかけては気温が冬ほど下がらないため、特別な防寒着なしでオーロラが楽しめます。来年の旅では、北部のドーソンシティと州都である南部のホワイトホースで、計4回のオーロラを観賞。カナダ最高峰の山々を望むホワイトホースでは、白銀の山並みの上空を光のカーテンが揺らめく幻想的な光景に出あえるかもしれません。
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当たり年には通常年より大規模なオーロラも期待できる
日中の観光も多彩です。ユーコン野生動物保護区では、ヘラジカやカリブー、バイソンなど、極北の地に生きる野生動物たちを観察。さらに世界屈指の景勝鉄道として人気のあるホワイトパス&ユーコン鉄道の旅もご用意しました。ゴールドラッシュ時代に敷かれた歴史ある鉄道から、雄大な森や渓谷が織り成す壮観をお楽しみください。
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迫力満点の景観が堪能できる人気の景勝鉄道、ホワイトパス&ユーコン鉄道
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ユーコン野生動物保護区ではカリブーなどの野生動物を観察
ヒグマの聖地と夏の氷河をアクティブに楽しむ旅
1年の大半が雪と氷で覆われる極北の地、アラスカ。人を寄せ付けない厳しい自然を有するこの場所が、夏の2カ月間、生き生きとした一面をのぞかせます。陽光に照らされた氷河が独特の輝きを放つのもこの時期。貴重な季節のアラスカをアクティブに楽しんでみませんか?
まずは、陸、海、空から堪能する夏の氷河です。陸で楽しむのは、車窓に雄大な山々や氷河湖を望むアラスカ鉄道です。海からの氷河観光は、キーナイ・フィヨルド国立公園での氷河クルーズ。何万年もの長い時間をかけてできた氷河が軋む音、青く光る氷河の美しさ、氷河の先が海に雪崩落ちる大迫力の瞬間など、目の前で地球の営みを体感する貴重な体験となるでしょう。そして空からは、小型機での遊覧飛行で、北米大陸最高峰のデナリ山とその周辺を眺望します。険しい山々に、深い谷を覆う氷河。この大迫力の景観のなかに、カリブーやヘラジカなどの野生動物の姿も確認できるかもしれません。
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かつてマッキンリー山と呼ばれた北米大陸最高峰デナリ山を遊覧飛行
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アラスカ観光の代名詞でもある氷河クルーズ
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アラスカ屈指の高級リゾート「ザ・ホテル・アリエスカ」に2連泊
この旅のもう1つのハイライトが、「ヒグマの聖地」といわれるカトマイ国立公園でのヒグマ見学です。アラスカ半島の付け根にあるこの地が夏、大人気となるのは、遡上するサケを求めてヒグマが大集結するため。水上飛行機で移動した先の観察拠点で繰り広げられるのは、河の流れのなかでサケを仕留めるヒグマたちの大迫力の光景! 安全な場所から、間近で野生のクマを観察できるこの稀有な機会をぜひお見逃しなく。
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カトマイ国立公園には、遡上するサケを求めてヒグマが大集結
この旅ではこのほか、「アラスカ」の語源になったともいわれる「アリエスカ」の名を冠したアリエスカ山の森を歩いたり、氷河湖を見ながら散策したり、軽めのハイキングも楽しみます。
大自然の営みを肌で感じる夏のアラスカ。ぜひご堪能ください。