日本人にはまだ馴染みの薄い「コーカサス3国」とは、黒海とカスピ海に挟まれた、ジョージア、アゼルバイジャン、アルメニアのこと。このエリアは、さまざまな大国に侵略・支配されてきた歴史があるため、民族、言語、宗教が複雑に入り混じっているのが特徴です。今回の旅では、そんな国境を接しながらもまったく異なる顔を持つ、3つの国の多彩な見どころをめぐります。
まずご紹介するのが、コーカサス山脈の南麓に位置し、黒海に面するジョージア。なかでもご注目いただきたいのが、「ジョージア山岳景勝道路」最奥の街・カズベキでの2連泊です。ロシアとの国境に近いこの地は、5,000メートル級の山々が眼前に迫る、壮大な眺望が圧巻。木の温もりにあふれるホテルの客室やレストラン、カフェテラスから、勇壮なカズベキ山などの大自然を満喫できます。また、標高2,170メートルの山頂に立つ「ツミンダ・サメバ教会」も感動的。“限りなく天国に近い教会”という形容にふさわしい、神秘的な美しさをご堪能ください。
5世紀からジョージアの首都になったといわれるトビリシは、多くの歴史的建造物をはじめとする見どころがたっぷり。旧市街のなかでも圧倒的な存在感を放つ、ジョージア正教の総本山「サメバ教会」、帝政ロシア時代に作家のゴーリキーが幽閉されたことで知られる「メテヒ教会」、6世紀に建てられた由緒ある「シオニ教会」などをめぐります。さらに、ロープウェーで訪れる「ナリカラ要塞」からは、かつてマルコポーロが「絵のように美しい」と称えた旧市街を一望できます。また、ジョージアワインの伝統と文化を受け継ぐワイナリーも訪問。ワイン発祥の地での試飲をごゆっくりお楽しみください。
ジョージアは、元大関・栃ノ心の出身国であり、加藤登紀子さんが歌った「百万本のバラ」の詞のモデルといわれる画家の故郷でもあります。そんな日本とのつながりを知ると、親近感が湧いてくるのではないでしょうか。
ジョージアの東に位置し、世界最大の湖・カスピ海に面したアゼルバイジャンは、3国のなかで唯一のイスラム教国であり、発展がめざましい裕福な国。今回訪れる首都のバクーは、2025年の万博開催地を大阪と最後まで競った都市で、近未来的な建築物と旧市街の古い街並みが混在しています。
まずご覧いただくのが、炎をモチーフにした「フレイム・タワー」と、流線形の「ハイダル・アリエフセンター」。どちらも奇抜な外観デザインで、誰もが一瞬で目を奪われることでしょう。一方、世界遺産に登録されている多くの歴史ある建造物も見どころ。旧市街では、結婚を強いられた王女がここからカスピ海へ身を投げたといわれる「乙女の塔」や、アゼルバイジャン建築の最高傑作ともいわれる「シルバンシャー宮殿」をご覧ください。
また、バクーから約60キロの場所にある「ゴブスタン国立保護区」へもご案内します。ここは、巨岩に描かれた先史時代の岩絵が6,000点以上も残されているところ。馬に乗る人、踊る人々、狩りの様子、動物など、約4,000年にわたり描かれたといわれる彫刻群をめぐりながら、太古の人々の生活に思いを馳せてはいかがでしょう。
アルメニアは、世界ではじめてキリスト教を国教とした国。今回の旅では、現存する世界最古の都市の1つといわれる、首都のエレバンを中心に観光します。その最大の見どころは、アルメニア正教の総本山で、世界最古の教会といわれる「エチミアジン大聖堂」です。静かな威厳を湛える大聖堂の横には宝物館があり、キリストの脇腹を刺したとされる「ロンギヌスの槍」や「ノアの方舟の破片」と伝えられる品々が収められています。
また、エレバン郊外にある「ホルビラップ修道院」では、アルメニアにはじめてキリスト教を伝えた聖人グレゴリウスが、幽閉されたといわれる地下牢を見学できるほか、ノアの方舟が辿り着いた伝説で有名な「アララト山」を一望いただけます。この山は、日本人にとっての富士山のような存在であり、国民の心の拠りどころの1つとなっています。
険しい渓谷の岩壁に張り付くように立つ「ゲガルド修道院」も、エレバン観光のハイライトの1つ。岩盤を人力でくりぬいて築かれた中央聖堂では、壁の装飾や十字架も石を彫って造られています。その近くにある「ガルニ神殿」は、整然と立ち並ぶ柱がギリシャ神殿のようで、1年に1度、内部を太陽の光が照らす構造。神殿が立つ丘の周囲に広がる、ダイナミックな渓谷美も存分にお楽しみください。
日本とのつながりも少なくないコーカサス3国へ、気持ちの良い季節に出かけませんか。