スペイン北東部に広がるナバーラ州の都市パンプローナ。ヘミングウェイの小説『日はまた昇る』には、この街で毎年7月に開催される「サン・フェルミン(牛追い)祭」の様子が描かれています。また、日本のニュース番組などでも「スペインの牛追い祭り」として、しばしば紹介されています。大きな牛と赤いスカーフを巻いた白いシャツ姿の男たちが、狭い路地を駆け抜けていく短い映像をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
パンプローナは、16世紀初頭まで続いたナバーラ王国の首都として栄えた歴史ある街です。「サン・フェルミン」は、パンプローナの守護聖人の名。この祭りは王国時代から続く行事で、祭りの期間中は、さまざまな催しが行われ、街全体が大いに盛り上がります。
そのなかでも盛り上がるのが「牛追い」です。「牛追い」は、祭りの大切な催しの1つである「闘牛」に出場する牛たちを、祭りの期間中毎朝、牛舎から闘牛場まで、街中を通って移動させるために行われるもの。いつの間にか牛の前後を走る人々が増え、今では1,000人以上の人が参加するようになりました。牛を移動させるために行われるので競技ではないものの、男たちの「度胸試し」的な面もあり、牛の前を走ることができた人は勇者として称えられます。また、男たちが身に着けている白いシャツと赤いスカーフは聖フェルミンの受難に思いを馳せるためともいわれています。
牛を追う距離はわずか800メートルほどですが、まっすぐな道だけでなく、直角に曲がる角や、狭い場所もあり迫力満点です。立派な角を持った牛と人々による熱狂と興奮は、その場にいるからこそ味わえるもの。歓声が沸くなか、男たちと牛たちが駆け抜けていく、その一瞬が見せ場です。
今回はこの大迫力の「牛追い」を、牛と人が走り抜ける路地に面した建物の上階バルコニーから安全に見学します。コースに面した建物のバルコニーはどこも見物客で大盛り上がり。祭りのハイライトの牛追いの様子を、ぜひ少し高い場所からご覧ください。見通しも良く贅沢な気分で楽しめるでしょう。
牛追いは朝8時からはじまりますが、パンプローナに2連泊するので、早朝に移動することはありません。また滞在期間中、牛追い以外に巨大人形のパレードや闘牛、コンサートなどのさまざまなイベントを楽しむこともできます。
降り注ぐ陽光、ラベンダーの花が揺れる修道院の庭、昔ながらの美しい景観を残す小さな街々……。7月の南フランス、プロヴァンス地方には、何度でも訪れたくなる色彩豊かな風景にあふれています。たとえばゴッホも暮らしたアルル。南フランスの伝統を色濃く残すこの街では、毎年7月の第1日曜日に「衣装祭り」が開催されています。このお祭りはプロヴァンス文化の継承に力を注いだ、ノーベル賞受賞作家フレデリック・ミストラルが提唱したもので、1903年にはじまりました。毎年伝統衣装に身を包んだ地元の老若男女500人以上もの人々が参加する、街を挙げてのイベントです。
衣装祭り当日は午後よりパレードがはじまります。アルルと周辺の地域からの参加者がグループごとにまとまって登場します。髪をきれいに結いあげ、小さな日傘を差し、ドレスをまとった女性たちや、きりりとしたカウボーイ姿の男性たち、そしてドレス姿の愛らしい子どもたちも行進していきます。伝統的な衣装といっても実にさまざまで、グループごとにテーマがあります。女性の場合、髪型や衣装によって、年齢や職業、未婚か既婚など分かるところも興味深いところ。カメラを向ければ、にっこり笑って応えてくれます。参加者たちは、伝統的な衣装を身に着けることに誇りを持っていると感じられます。もちろん訪れた人もタイムスリップしたような華やかな光景を存分に楽しむことができ、だれもが雰囲気を味わいながら楽しく過ごせるお祭りです。
パレードの終点となる古代劇場ではセレモニーが行われます。衣装のいわれなどの簡単な解説や、地元鼓笛隊によるプロヴァンス太鼓の演奏などもあります。ほかにも民族衣装の女性たちのダンス、そして南の海沿いに広がるカマルグで育った白い馬に乗った男性たちの登場など、プロヴァンスの伝統文化が凝縮された催しなどを堪能する思い出深い1日となることでしょう。
イギリス北部を占めるスコットランドには、ショートブレッド、タータン・キルト(格子柄のスカート)や、勇壮なバグパイプの響きといった、スコットランド独自の伝統と文化が色濃く残っています。たとえばタータン・キルトの柄は、氏族(クラン)ごとに独自のものがあり、部族を識別する目印です。また戦場でのバグパイプ隊の役目は、バグパイプを吹きながら軍の先頭を歩き相手を威嚇することでした。
そして毎年8月の夜、スコットランドの首都エジンバラでは、軍楽隊によるバグパイプの音が響きわたる壮大な「ミリタリータトゥ」が開催されています。「タトゥ」とは、野外で行う軍楽隊の行進のことです。エジンバラ国際フェスティバルの期間でもあり、スコットランドはこの時期が最も盛り上がるといっても過言ではありません。「ミリタリータトゥ」は、今年で75年の歴史を誇ります。キャッスル・ロックにそびえるエジンバラ城は、幾多にわたる動乱を生き抜いたスコットランドの象徴。ライトアップされた城を背景にした広場がミリタリータトゥの会場です。
まだ西の空に明るさの残る頃、ファンファーレと号砲がショーのはじまりを告げます。タータン・キルトをまといバグパイプを演奏するスコットランド軍楽隊など、英連邦に属する国々の軍楽隊や、世界各国のマーチングバンドが次々に登場し、趣向を凝らしたパフォーマンスを披露します。日本の陸上自衛隊が参加した年もありました。それぞれのマーチングバンドのすばらしい演奏と、一糸乱れぬ行進のパフォーマンスは、毎年、会場を埋め尽くした観客たちを魅了します。
哀愁の漂うバグパイプの音、そして肩にかけたタータンをなびかせながら行進するスコットランドの軍楽隊の姿は勇壮でもあり、幻想的でもあります。やがてスコットランド民謡『蛍の光』が演奏されるとショーも終盤。観客も皆、自国の言葉で演奏に合わせて大合唱に。この夏、そんな感動的なフィナーレを体験しに出かけてみませんか。
「1つの街にゆっくり滞在して、自由気ままに街歩きを楽しんでみたい」、そんな思いをかなえるのが「滞在の旅」です。今回ご案内するのはパリとロンドン。いずれも直行便(エールフランス航空/ブリティッシュ・エアウェイズ)を利用し、街歩きに最適なホテルに滞在します。到着翌日は現地在住の日本人ガイド、添乗員と一緒に見どころをご案内。自由行動に先立ち、ホテル周辺のおすすめのカフェ・レストランなどもご紹介します。「終日自由行動」の日は、日本人ガイド同行の「おすすめプラン」をご用意するほか、同行添乗員もお手伝いしますので、安心して自分なりの楽しみを見つけて旅を深めることができます。
「パリ滞在」では、オペラ・ガルニエまで徒歩約5分の「ウエストミンスター」に5連泊。公共交通機関で利用できるICカードと、ミュージアムパスをプレゼントします。三越伊勢丹パリ事務所スタッフのおすすめプランでセーヌ河沿いの散策や再建されたばかりのノートルダム大聖堂の見学、日本人ガイドと一緒にパリ郊外へのショートトリップ(実費)に出かけることもできます。
「ロンドン滞在」では、ビックベンや国会議事堂へ徒歩6~10分のホテル「ロイヤル・ホースガーズ」に5連泊。観光初日には、開館前の大英博物館に特別入場し、夏季限定公開のバッキンガム宮殿などを訪れます。イギリスは多くの美術館や博物館の入場が無料なので、自由行動の日は「オイスターカード」(プレゼント)を使って地下鉄やバス、水上バスを利用して、美術館めぐりを楽しんでみましょう。日本人ガイドとともに観光(実費)することもできます。