[ クローズアップ ]
東日本も西日本も
ラグジュアリーバスで
ゆったりと
春爛漫の桜旅
企画=山口真司/山田五月/柳幸治/大川喜史/金子美佐子/塩田華世
文=吉田千尋
つぼみがそっとほころぶ、そんな季節が待ち遠しい今。この春は、大型車両にわずか10席の優雅なバスで、花咲く風景のなかへ出かけてみませんか。東京発着の「三越伊勢丹プレミアムクルーザー(MPC)」と、西日本をめぐる同型バス「YuGa」で、移動も贅沢な時間になる旅をお届けします。
樹齢400年超のしだれ桜が
華やかに彩る、身延山久遠寺
心やすらぐ山間の古刹で春の喜びに包まれるひと時を
さまざまな桜が咲く日本で、そよぐ風まで染めるかのような「しだれ桜」が特に好きという方は、きっと多いことでしょう。花便りが届きはじめる3月末、華やかなバス旅の先陣を切るのは、山梨県の身延山久遠寺です。
公共交通機関ではアクセスしにくい山間の古刹ですが、MPCならゆったりと寛ぎ、大きな窓から春景色を楽しんでいる間に到着します。
日蓮宗の総本山として知られる寺院は、どこまでも広大です。風格に満ちた本堂や五重塔などの伽藍が迎える境内を歩けば、幾本もの桜の木が新たな季節の到来を告げています。
威風堂々たる姿を見せる古木のなかでも、圧巻は樹齢400年を超えるといわれる2本のしだれ桜。祖師堂の傍らに立つ「妙法桜」と、仏殿の前を彩る「瓔珞桜(ようらくざくら)」を見上げれば、大きく包み込むような枝ぶりに息を呑みます。地面まで降り注ぐ桜色がしなやかに揺れるさまは、神々しいほどの美しさ。風と光で表情を変えるその姿を眺めるほどに、時がたつのを忘れてしまうことでしょう。
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「全国しだれ桜10選」に数えられる、身延山久遠寺の古木
貸切の葵舟や大井川鐵道SLなど旅の楽しみが広がる4コース
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大井川鐵道のSLに乗って桜のトンネルを走り抜ける
毎年好評を博している身延山久遠寺の旅は、4つのコースをご用意しました。静岡へ足を延ばし、遊覧船の「葵舟」で桜咲く駿府城のお堀をめぐるAコース。その旅程に加え、大井川鐵道のSLで桜のトンネルを走り抜けるCコース。絶景自慢の「日本平ホテル」に泊まるDコースでは、三嶋大社の桜もお楽しみいただけます。気軽に久遠寺の桜をご覧になりたい方には、日帰りのBコースもおすすめです。
時代を超えて人々をひきつけてやまない春景色を、ぜひご堪能ください。
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駿府城公園では葵舟でお堀をめぐり、石垣からせり出す桜を愛でる
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富士山と駿河湾を一望できる「日本平ホテル」
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参道や神池沿いが彩られる三嶋大社
高遠城址を染める可憐な桜を、
残雪の中央アルプスとともに
ここでしか見られない門外不出の桜と白銀の山の共演
見渡す限り広がる桜色。圧倒的なスケールで迎えてくれるのは、およそ1,500本もの桜の木です。
明治時代の廃藩置県で取り壊しとなった、長野県の高遠城。時が流れ、荒れ果てた城址に旧藩士たちが桜を植えたのがはじまりとされる高遠城址公園では、激動の歴史をすべて包み込むように壮大な景観が待っています。
ここで出あえる桜は、固有種で門外不出のタカトオコヒガンザクラ。広大な桜景色を織り成しながら、1つひとつの花はソメイヨシノよりも小ぶりでかわいらしい姿です。そして、遠くに見えるのは残雪の中央アルプス。まぶしい白銀と桜の共演をたっぷりと味わっていただきたく、この公園ではおよそ1時間半の散策時間を設けました。歴史に思いを馳せ、「天下第一の桜」と称される風景に浸りましょう。
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中央アルプスの残雪を背景に「天下第一の桜」が見られる高遠城址公園
モダンな建造物と桜を愛でるアートの発信地・清春芸術村
このコースでは、歴史の舞台をもう1つ訪ねます。芸術家の交流の場として発展してきた、山梨県の清春芸術村です。美術館などが並ぶエリアで存在感を放つのが、16角形のモダンな建造物。パリのエッフェル塔を手がけたギュスターヴ・エッフェルの設計による貴重な施設で、フランス語で「蜂の巣」を意味する「ラ・リューシュ」と名付けられたシンボルです。
この場所で春を告げるのが、30本のソメイヨシノ。大正14年、かつてこの地にあった清春小学校の落成記念に、児童たちが植樹したもので、美しいデザインの建物とともに絵画のような風景を描き出しています。その背景には、冠雪の南アルプス。歴史と文化の薫り、山岳風景とともに、春の彩りを存分に味わえるコースです。
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宿泊は、諏訪湖畔に佇む温泉と料理自慢の宿「かたくらシルクホテル」
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小学校があった時代の桜が今も咲く、清春芸術村©清春芸術村
桜のトンネルや菜の花との共演も見事な
赤城南面千本桜
どこか懐かしい、絵本のような景色のなかをのんびり散策
バスを降りて緩やかな上り坂をのんびりと歩けば、1,000本を超えるソメイヨシノの彩りが待っています。約1.3キロにわたる桜のトンネルを堪能できる群馬県屈指の名所、赤城南面千本桜。その名のとおり暖かな日射しをたっぷりと受ける赤城山の南面で、いち早く木々が芽吹く風景を訪ね、春の彩りを味わいましょう。
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赤城南面千本桜の幻想的な並木道
頭上まで桜に包まれる並木道だけでなく、周囲に咲く花々との共演も大きな魅力。約1時間の散策では、大地を鮮やかに染めあげる菜の花畑にも立ち寄ります。まばゆいほどの黄色と、柔らかな桜色、穏やかな春の空が絵本のような世界をつくり出し、日本の原風景を思わせる美しさです。
戦後まもない昭和30年代、地域の発展を願って植樹がはじまったとされる赤城南面千本桜。人々の想いを受け継いで半世紀以上守られる彩りを、心豊かに味わうひと時が待っています。
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鮮やかな菜の花畑とのコントラストが美しい赤城南面千本桜
軽井沢「万平ホテル」に宿泊 桜が埋め尽くす上田城跡公園へ
桜を満喫した余韻とともに宿泊するのは、軽井沢を代表するクラシックホテル。昨年10月に創業130年を迎え、伝統を守りながらさらに快適な空間へとリニューアルオープンした「万平ホテル」です。数多くの著名人に愛されてきた心地良いおもてなしとともに、豊かな自然を愛でながら優雅にお過ごしいただけます。
翌日は、上田城跡公園へ。言わずと知れた真田氏の名城跡を囲むように、およそ1,000本もの桜が園内を埋め尽くします。4月上旬は、スイセンなども美しい季節。公園のどこを歩いても春の彩りに出あうことができ、心が躍るひと時です。
壮大な春爛漫に抱かれる、上州と信州の旅を、ぜひお楽しみください。
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「万平ホテル」でクラシックホテルの真髄を堪能
ラグジュアリーバスでゆったりと春爛漫の桜旅
日本3大桜の1つ
優美に流れ落ちる三春滝桜を訪ねて
3つの春が来る町で出あえる樹齢1,000年超のしだれ桜
梅、桃、桜の花が一度に咲き、「3つの春が同時に来る」といわれることからその名が付いたとされる、まさに春爛漫を象徴するような町があります。福島県のほぼ中央に位置し、城下町の風情が漂う三春町です。
この町を彩る桜のなかでも、日本三大桜の1つといわれる「三春滝桜」は、群を抜く華やかさを誇ります。バスを降り、緩やかな坂道を上がると目の前に現れる巨木に、思わず言葉を失うことでしょう。無数の花が咲く姿は、まさに流れ落ちる滝のよう。樹齢1,000年以上と推定されているベニシダレザクラで、国指定の天然記念物となっています。
少し小高くなっている後ろ側や横からの眺めなど、さまざまな角度で表情を味わえるのも魅力。四方に伸びた枝の周りをぐるりと歩けば、あふれる生命力を感じられることでしょう。
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丘の斜面に立つ「三春滝桜」は樹齢1,000年以上とされ、高さ約13メートル、根回り約11メートルの巨木
この地区は町指定天然記念物の桜もあり、名もない古木を含めて多彩な種類の花を楽しむことができます。車窓からの景色もすばらしく、ヤマザクラなどが染める里山らしい春もたっぷりと味わえるひと時です。
美肌の温泉宿と、会津の桜めぐり2つのコースをご用意
三春滝桜などを愛でるこの旅では、それぞれにこだわりのある2つのコースをご用意しました。Aコースでは、美肌の湯で知られる磐梯熱海温泉の名宿へ。緑豊かな庭園に全14室の離れが点在する「離れの宿 よもぎ埜」で、心満たすおもてなしをご堪能いただきます。Bコースでは、桜の彩りに包まれる鶴ヶ城、そしてしだれ桜が約3キロにわたって立ち並ぶ旧国鉄日中線跡の桜並木へ。会津屈指の桜の名所を、たっぷりと満喫できる旅です。長い冬のあとにめぐりくる東北の春を、余すところなく味わいましょう。
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廃線となった旧国鉄日中線跡にしだれ桜の並木道が続く
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静寂な空間を堪能する「離れの宿 よもぎ埜」の
露天風呂(Aコース)
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「ホテル華の湯 離れ松林亭」の露天風呂付客室(Bコース)
西日本も優雅に瀬戸内の多島美と
桜色に包まれる尾道の町並み
4日間で楽しむ多彩な桜尾道では海を望む千光寺公園へ
西日本で運行するラグジュアリーバス「YuGa」の旅から、瀬戸内に面した風光明媚な町などをめぐる4日間の周遊型コースをご紹介します。
東京から大阪へ新幹線で移動してバスに乗るこの旅では、関西から四国まで多彩な桜名所を楽しめるのが魅力です。そのなかでも特に絵になる風景の1つが、“坂の町”尾道でしょう。
小高い山の頂から中腹にかけて広がる千光寺公園を訪ねれば、迎えてくれるのは、ソメイヨシノや八重桜、しだれ桜などおよそ1,500本もの桜。頂上の展望台からは、尾道水道沿いの町並みやしまなみ海道も一望できます。
青く煌めく瀬戸内海、大小さまざまな島、そして桜色と、尾道ならではの色彩のコントラストを贅沢に楽しめるのも、この公園の醍醐味。桜舞う季節だけの絶景を満喫しましょう。
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千光寺公園から見下ろす尾道の町並みと多島美、桜との共演は春だけの景色
水の都・大阪から、栗林公園、倉敷美観地区、福山城へ
桜をめぐるスタート地点である大阪では、水上バスでお花見クルーズを楽しむひと時も。大阪城や中之島周辺など、水の都の春景色を堪能できます。
香川県の栗林公園では、ソメイヨシノを中心に約300本の桜が咲く園内をゆったりと散策します。江戸期に100年余りの歳月を費やして築かれた回遊式大名庭園も見逃せません。
岡山では、歴史の薫りが漂う倉敷の美観地区へ。桜を楽しむだけでなく、大原美術館を解説員同行で貸切鑑賞できるひと時を設けました。宿泊は老舗の「旅館くらしき」など、由緒ある名宿でお寛ぎいただけます。
旅の最終日に訪ねる広島では、福山城公園で桜に囲まれる優美な城の姿を味わいましょう。
ラグジュアリーバスなら、長距離の移動も快適です。贅沢な桜風景の周遊を、ゆったりとお楽しみください。
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大阪では桜名所を水上バスから楽しむ
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江戸時代の建物や蔵を改装した老舗「旅館くらしき」
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3日目は、庭園も見事な「Ryokan尾道西山」に宿泊
夜桜や名宿連泊など
ほかにも多彩なコースをご用意
高田城の幻想的な夜桜と絶景の赤倉観光ホテル連泊
日本3大夜桜の1つといわれる高田城の桜を、夕暮れ時から観賞します。刻々と彩りが変わり、ライトアップで一気に華やぎを増す夜桜の艶めきに酔いしれましょう。一目で多くの花が見渡せることから「一目十万本」と称される「あんずの里」では、愛らしい花と残雪の山々が楽しめます。
宿泊は、標高約1,000mからの眺望が自慢の「赤倉観光ホテル」プレミアム棟。露天風呂付きの客室に連泊し、遮るものがなく開放感あふれる見事な眺望と、源泉かけ流しの温泉を堪能していただきます。
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高田城を夕刻からライトアップの時間にかけて観賞
遅咲き桜の名所をめぐる5日間の東北紀行
ゆっくりと訪れる北国の春を、のどかなドライブを楽しみながら味わうロングコースです。国の天然記念物に指定されている珍しい鹽竈桜(しおがまざくら)が見られる鹽竈神社、天守閣様式の展望台(横手城)と桜が観賞できる横手公園、黒板塀とシダレザクラに風情があふれる角館武家屋敷など、遅咲き桜の名所をじっくりとめぐっていきます。
岩手県では湯川温泉の「山人-yamado-」に連泊、山形県では「天童荘」など、滞在先にもこだわりました。名宿のおもてなしに心満たされるひと時をお過ごしください。
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約3,000本のソメイヨシノが彩る横手公園
天女伝説の打吹公園、国宝の松江城
山陰の桜を愛でる「YuGa」の旅
「YuGa」のバス旅では、はじめてお届けするコースです。山陰の小京都と謳われる倉吉の打吹公園(うつぶきこうえん)は、山の麓に広がる桜の名所。息を呑む彩りと、情緒あふれる白壁の町並みを散策します。
2日目は、オープン当日を迎える鳥取県立美術館へ。注目の開館記念展を初日に楽しむ、またとない機会をご堪能ください。
最終日には出雲大社、そして黒い下見張りの城と桜の共演が見事な松江城へ。山陰の名湯である三朝温泉と玉造温泉での宿泊もお楽しみです。
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山陰随一といわれる桜名所の打吹公園を散策