蒸し暑い日々を逃れて、針路を北へ。清々しい空気に包まれながら北国の魅力を満喫できるこの国は、なんと旅人想いなのでしょう。雄大な自然に驚嘆し、短い夏を謳歌する花々に憩い、最果ての地の旅情に浸る……。ご案内するのは、そんな北海道と青森をめぐりゆく旅です。とっておきの思い出を、初夏の別天地で紡いではいかがでしょうか。
新函館北斗駅に降り立った途端、吹き渡ってくる涼やかな風、天高く広がる青空。梅雨とは無縁な北海道の爽快感に、旅心が高鳴ってくることでしょう。期待感をさらに高めるのが、駅舎の傍らに佇む「三越伊勢丹プレミアムクルーザー:MPC」の姿です。
このラグジュアリーバスの座席数は、わずか10席。車内とは思えないプライベート空間に包まれながら、雄大な風景を大きな窓からご覧いただけます。到着当日は五稜郭タワーから美しい星形造形と函館市街を一望したあとに、湯の川温泉でゆったりと寛ぎながら明日への英気を養いましょう。
翌朝、いよいよ道南が誇る景勝地めぐりです。独立型の革張りシートに身を委ねながら移りゆく景色に見惚れていると、現れてくるのは北海道駒ヶ岳、そして大沼。秀峰と大小の湖沼群が織り成す絵はがきのような風光美を、湖畔を散策しながらご堪能ください。
一路、MPCは屈指の見どころが集う地へ。「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」での昼食後、ポロモイ山頂から下る道すがらの光景は圧巻。洞爺湖の湖面に吸い込まれていくかのようです。「有珠山ロープウェイ」では、洞爺湖や今も活動し続ける昭和新山、名峰・羊蹄山を眼下に眺めながら空中散歩。道南の広大さと自然の豊かさを改めて感じ入ることでしょう。
息を呑むのは、ニセコ連峰を越えて積丹半島をめぐるひと時です。鉄道とて敷かれていないこの秘境の地に足を延ばすことができるのも、バス旅ならでは。アイヌ語で“カムイミンタラ:神の遊びし処”と名付けられたジュウボウ岬、そして積丹ブルーと絶賛される島武意(しまむい)海岸の神秘なる絶景をご堪能ください。
この旅では、温泉めぐりも楽しみの1つ。湯の川温泉では「望楼NOGUCHI函館」、登別温泉では「望楼NOGUCHI登別」、ニセコ温泉では「ニセコ羊蹄の宿 楽 水山」に宿泊。いずれも客室に設けられた露天風呂にゆったり浸りながら、癒しのひと時をお過ごしいただけます。
道南めぐりの心地良い余韻とともに、MPCは小樽の町へ。石造りの倉庫などが立ち並ぶ運河沿いを散策後、新日本海フェリーで新潟へと向かいます。折しも出航時は、日没時。夕陽を浴びて黄金色に煌めく日本海の海原や、茜色の空に溶け込む積丹半島を客室の専用テラスから望みながら、離れがたい想いが胸を突いてくることでしょう。
日本最北端、離島、花散策、地産の海鮮、そして温泉……。旅心を贅沢なまでに満たす、利尻島・礼文島めぐりをご案内していきましょう。羽田空港から、直行便で稚内へ。宗谷岬からサハリンの島影を遠望するほどに、ここが日本最北端の地であることを実感させられます。
島々へのフェリー移動は、快適な1等ラウンジ席をご用意しました。最初の訪問地・利尻島へと海原を眺めていると、迫りくるのが“利尻富士”と呼ばれる標高約1,721メートルの利尻山の雄姿です。着岸後は、その裾野に佇む神秘の姫沼や“利尻富士”の眺望が麗しいオタトマリ沼を探訪。郷土料理の名取本店で味わう、旬のウニ丼の昼食も絶品です。
次なる訪問先は、約300種類もの高山植物が自生することから、“花の浮島”と呼ばれる礼文島です。「桃岩展望台」では、島固有のレブンキンバイソウなど、夏の訪れを待ちわびていたかのように花咲く、高山植物をガイドの解説とともに観賞します。
もう1つのお楽しみは、この島随一の人気を誇る「花れぶん」での宿泊です。旬の生ウニ、肉厚で脂ののったホッケ、濃厚な味わいのボタンエビなど、海の幸の豊饒さに思わず笑みがほころびます。天候が良い日は、客室の大きな窓や展望大浴場から、海に浮かぶかのような“利尻富士”を眺められるでしょう。清々しくも気持ち和む、日本最北端の島時間をお楽しみください。
可憐ながらも野趣に満ちた離島の高山植物とは対照的に、人々の愛情が注がれた庭園や花畑をめぐる旅にも心満たされます。舞台は、山岳、渓谷、平原とダイナミックな自然の変幻が魅力的な道央地方です。
最初の訪問先は、「上野ファーム」です。この人気スポットは、旭川・富良野・十勝を結ぶ全長約250キロに8つの庭園が点在する「北海道ガーデン街道」の発起人の1人、上野砂由紀さんが営んでいます。英国風ガーデンをベースに北国の気候風土を活かした庭園の数々は、メルヘンの世界に迷い込んだかのよう。ベストシーズンの初夏を迎えて、バラやエゾクガイソウ、ヒメヒマワリなどが一斉に花咲く見事さを満喫しましょう。「ミラーボーダー」ゾーンでは、青いベンチとともに思い出のワンショットをどうぞ。
つぎの日は、富良野の「ファーム富田」へ。紫に色づくラベンダーを中心に、約80種類の花々が帯状に彩る光景は圧巻。ゆるやかな丘陵に虹が架かったかのようです。十勝地方では、日本・西洋・風景と3つのテーマで構成された、回遊式庭園「真鍋庭園」を訪問。エゾリスなど森の住人に、ひょっこり出あえるかもしれません。また「十勝ヒルズ」では、見頃を迎えたバラを観賞します。