昨年に添乗した西オーストラリアへの旅のはじまりは、人気者の動物たちとの対面が印象に残っています。パースの「ワイルドライフパーク」は、コアラやカンガルー、ウォンバットなどオーストラリアならではの動物と出あえる場所。なかでも胸が高鳴ったのは、コアラとの記念撮影。間近で見たコアラは、ぬいぐるみのようでなんてかわいいこと! 手の甲側でふれることもできて、ふわふわとした感触に癒されました。参加者の皆さんも愛嬌たっぷりのコアラの虜となり、旅の序盤でツアーに一体感が生まれたように感じました。
このツアーを企画する時には、ワイルドフラワーの観賞時間を増やすため、行程に工夫を凝らしました。群生地が点在するパースからジェラルトン間を、往復で異なる二つのワイルドフラワー街道をドライブ。また、ルート上にある小さな街に宿泊することで、時間をかけてゆっくりと花観賞をお楽しみいただける旅に仕立てたのです。
ドライブ中の車窓には、赤土の大地やあたり一面の花絨毯など、西オーストラリアの豊かな自然が広がります。ある日、野生のカンガルーが道に飛び出てきて、びっくり。どうやらカンガルーは後ろに下がることが苦手なので、前進あるのみという習性らしいのです。
ウォンガンヒルズでは、参加者の皆さんに差しあげた花のガイドブックを片手にワイルドフラワーの群生地を歩いて花探し。フラワーガイドさんが「ここに咲いてますよ」と案内してくれ、ガイドブックの写真と照らし合わせて行きます。参加者の皆さんも「これを見つけた!」と発見者に。次々とスマートフォンで花を撮影し、宝探しのよう。ワイルドフラワーの王様の1つといわれるリース・フラワーの群生地も見どころです。完璧なリース状の姿はまさに花冠。この花を見るためにツアーに参加していたお客さまもいらしたので、感激はひとしおでした。
1つ目のワイルドフラワー街道を北上し、海沿いの街ジェラルトンに2連泊。ホテルから数分歩くとそこは砂浜が広がり、インド洋に沈んでいく夕陽がとても綺麗でした。
夕陽といえば、ナンバン国立公園の奇岩群ピナクルズで見た夕陽も忘れることはできません。オレンジ色に染まっていく奇岩と夕陽の共演はまさに息を呑む風景で、目に焼き付いています。
2つ目のワイルドフラワー街道を南下し再びパースへ向かう途中、西オーストラリア特有のグラスツリーが群生するワナガーレン自然保護区へ。グラスツリーは幹が年に1センチほどしか成長しない植物で、山火事のあとでも再生するほど力強い植物です。絶景が広がるランセリン砂丘にも立ち寄りました。真っ白い砂浜を歩いて行くと、目の前に広がるのは真っ青な海。インド洋がこんなにも透きとおっているとは、驚きました。
パースに戻ると9月時期限定で開催される「キングスパーク」のフラワーフェスティバルへ。バンクシアやボトルブラシをはじめ、オーストラリアのワイルドフラワーを一度にたくさん観賞できるのがこのフェスティバルの魅力です。白とピンクの可憐なエバーラスティングや、オーストラリアの国花である黄色いゴールデンワトルなどもあり、とてもカラフル。なんと西オーストラリア州には12,000種以上のワイルドフラワーが自生し、その約8割が固有種といわれています。ところで、この旅で学んだ必需品をご紹介しましょう。それは、頭に被る虫除けネット。現地のスーパーでも購入でき、花探しをする時に大活躍でした。
西オーストラリアの旅を思い出すと蘇るオレンジ色の夕陽、真っ青なインド洋……。写真や言葉では伝えきれない鮮烈な色が、今でも忘れられません。