リバークルーズにぴったりな花ほころぶ季節がやってきます。来春のセレナーデ号の船旅をひと足早くご紹介。3月出発のコースではライン河とオランダ運河へ。この時期だけの特別な見どころが、ドイツのバーデン・バーデンで開催される「イースター音楽祭」。世界でも指折りのオーケストラが登場する人気の高い音楽祭で、会場となるバーデン・バーデン祝祭劇場には毎年、多くのクラシック音楽の愛好家たちが訪れます。
この劇場は元々、街の中央駅として1904年に建設されましたが、廃線によりその役目を終えることに。その後、物理学者カールハインツ・ミュラーが計算した理想的な音響値をもとに、建築家ヴィルヘルム・ホルツバウアーが綿密に設計。1998年に歌劇場として生まれ変わりました。観客席は約2,500席とドイツ最大級。ヨーロッパでは2番目の大きさで、優れた音響設備も高く評価されています。
バーデン・バーデンのイースター音楽祭には、ベルリン・フィルが13年にわたり出演を続けてきましたが、今年でピリオドを打ち、来春は新たにロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が出演。1888年に創立、アムステルダムを拠点に活動し、世界三大オーケストラの一つといわれています。各パートが「ビロードのような弦」「黄金の金管」「際立った個性の木管」と表現され、それぞれの音色が調和した唯一無二の美しい演奏は必聴です。
タクトを振るのは、若くして世界を魅了するクラウス・マケラ。1996年、フィンランドに生まれ、10代の頃から指揮者として国内で頭角を現し、2020年には当時24歳の若さで北欧の名門オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。さらに、翌シーズンからはパリ管弦楽団の音楽監督も務めることに。そして、2027年からは今回共演するロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者への就任も発表され、音楽界の注目は日に日に高まっています。
気になる音楽祭での演目は、アントン・ブルックナー作『交響曲第8番』。昨年、生誕200周年を迎えたブルックナーは、オーストリアの作曲家、オルガニストです。教師だった父親の影響で、幼い頃から宗教音楽とオルガンの音色に囲まれて育ちました。その後、リンツ大聖堂のオルガニストに就任。40代になってから、交響曲の創作に情熱を注ぐことに。代表作の1つ『交響曲第8番』は壮大なスケールで構成され、後世の音楽家たちにも大きな影響を与えたといわれています。同じ譜面でありながら、指揮者により様々な表情を見せるこの大作を彼らがどう演じるのか……。
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を迎え、音楽祭の歴史に新たな幕が上がる。この貴重な瞬間を体験できる船旅は9月に発表予定。感動の花咲く春へ出発しませんか。