[ クルーズ特集 ]
憧れの地へ、
もっと自由に船でゆく
企画=加藤のどか/阿部遥奈
文=井上智之
大きな弧を描く水平線の先へとゆく船旅の、なんとロマンあふれることでしょう。客船の多様化とともに、近年ではクルーズスタイルの自由度も広がっています。皆さまが想いを募らせるのは、華やかな雰囲気のなか、エンターテインメントや食事などを楽しみながら寄港地をめぐる大型客船の旅でしょうか。それとも上質なプライベート空間で寛ぎながら、小型客船を活かした寄港地観光に心躍る旅でしょうか。今回ご案内するのは、そんな皆さまのときめき誘う2つの旅。訪問先のアラビア半島、カリブ諸国に好奇心が刺激されます。
MSCエウリビア
大型船の華やぎに満たされ、
古代と近代が交差する
アラビアンワールドへ
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摩天楼のような都市景観と、灼熱の砂漠。大型客船の「MSCエウリビア」とともに、新旧の魅力が交差するアラビア諸国をめぐりゆく
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大型客船ならではの船旅を 安心とともに楽しみ尽くす
最初にご案内するのは、船内に街が現出したかのような大型客船で、アラビア半島の街々をめぐる旅です。乗船するのは、約18万トン、乗客定員6,327名、乗船員約1,711名のスケールを誇る「MSCエウリビア」です。
ギリシャ神話に登場する海の女神「エウリビア」にちなんで名付けられたこの客船は、MSCクルーズが培ってきた経験・ノウハウの粋を結集し、2023年に就航した最先端のクルーズ船。ブロードウェイスタイルのミュージカルやマジック、ダンスなどのエンターテインメントが、日々繰り広げられるとともに、スパ&ウェルネス施設、レストラン&バーなどが充実し、華やかなクルーズライフをたっぷりとご満喫いただけます。
なかでも心ときめくのが、デッキ上に多彩なレストランやショップなどが立ち並ぶ「ガレリア・エウリビア」です。光と音のショーが繰り広げられるなか、イタリアの街角に迷い込んだような洋上プロムナードをそぞろ歩くほどに、忙しい日常が遠い昔のように思われてくるでしょう。
「MSCヨットクラブ」は、大型客船の限られたエリアに広がる特別な安らぎの場。ラグジュアリーなプライベート空間で、レストランやバー、専属バトラーによるサービスなど、ここでしか叶わない特別な体験をご堪能ください。
大型客船での船旅で懸念されるのが、船内での位置確認や移動の大変さではないでしょうか。その対応として、船内にはいたるところにマップ・サイネージが配されるとともに、自分の位置を簡単に把握できる、スマートフォン連動のマップシステムをご用意。専用アプリを通じて、当社の添乗員と連絡を取り合うこともできます。
また、ほとんどの利用施設を6階と7階に集約。客室から最小限の船内移動で済むことも、新世代の大型客船らしい配慮です。
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「MSCヨットクラブ」限定の特別なひと時を体験
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ミュージカルやマジック、ダンスなど、日々繰り広げられるエンターテインメントを満喫
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レストランやショップが立ち並ぶ、洋上プロムナード「ガレリア・エウリビア」
近未来の都市景観に目を見張り 千夜一夜の世界に酔いしれる
高鳴る期待とともに、航空機はアラブ首長国連邦のドバイ国際空港に到着。市街地に向かう車窓から近未来的な景観を眺めるほどに、抱いていた砂漠イメージとのギャップに驚かされることでしょう。ドバイ到着後は、高さ828メートル、世界一高い建物の「バージカリファ」へ。154階の特別展望ラウンジから、急速な発展を続けるドバイの街並みを一望したのち、いよいよ7泊8日のアラビア半島クルーズへ出発です。
心地良い客室で航空機移動の疲れを癒した翌日は、カタールのドーハに寄港。おすすめは、千夜一夜の世界が迷路のように広がるスーク(市場)をそぞろ歩くひと時です。漂うスパイスの香り、エキゾチックな雑貨類などが並ぶ店先……。活気と熱気に満ちた雰囲気をご満喫ください。
さらに「MSCエウリビア」は、バーレーンへ。この国最大の寺院「アハマド・アル・ファテフ・モスク」などを見学したのちは終日、クルージングをお楽しみいただきます。ショッピングしたり、カフェで寛いだり。エンターテインメントやイベント参加など、思い思いの時間をお過ごしください。
次なる訪問地アブダビでは、日本のアート集団が手がけたプロジェクト「チームラボフェノメナ アブダビ」が必見。あらゆる感覚を刺激する、最先端のデジタルテクノロジーによるアートに圧倒されることでしょう。この地域最大の野生保護区である、シルバニヤス島の訪問も。サファリカーに乗って、ガゼルやアラビアオリックスなどとの出あいをお楽しみください。
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「チームラボフェノメナ アブダビ」で最先端のアートを 「teamLab Phenomena Abu Dhabi」サディヤット文化地区 アブダビ ©️ チームラボ
クルーズもいよいよ、終盤。ドバイでは、巨大なフレーム型建物「ドバイフレーム」や世界最大規模の噴水ショー「ドバイ・ファウンテン」を満喫。砂上のオアシスホテルに滞在し、4輪駆動車で砂漠をドライブするひと時も、かけがえのない思い出になるでしょう。
「MSCエウリビア」でゆくこの船旅は、大型船ならではの感動体験とともに、新旧の魅力がモザイク画のように交差するアラビア半島諸国の“今”にふれる絶好の機会ではないでしょうか。
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巨大なフレーム型建物「ドバイフレーム」に圧倒される
憧れの地へ、もっと自由に船でゆく
WINDSTAR CRUISES スター・プライド
小型船の上質な雰囲気に憩い、
パナマ運河とコスタリカの
大自然へ奥深く
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小型客船の「WINDSTAR CRUISES スター・プライド」とともに、
パナマ運河を完全通航。なかなか訪れることが叶わないカリブの地をめぐりゆく
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ホスピタリティに心満たされる 贅なるヨットスタイルの船旅を
2つ目にご案内するのは、小型客船ならではのプライベート空間に包まれながら、そのサイズを活かしたパナマとコスタリカの寄港地観光をお楽しみいただく旅です。乗船するのは、約1.3万トンの「スター・プライド」です。
この客船を運航するWINDSTAR CRUISESは、1984年の創業以来、ラグジュアリー・ヨットスタイルの船旅で高い評価を獲得し続け、世界各国をクルーズしています。そのこだわりを受け継いだサービスと、開放的でリゾート感たっぷりなカリブ諸国のクルーズライフに、日常を忘れる7泊8日の船旅をご満喫ください。
たとえば乗船クルーは、316名のゲストに対し204名。クルー1名あたり、乗客約1.5名というサービス品質を誇ります。船内の雰囲気も、フレンドリーでアットホーム。操舵室への訪問も許可されていますので、経験豊富なキャプテンや、航海士たちとの会話を楽しんではいかがでしょうか。
客室は全室オーシャンビューのスイートで、約26平方メートルの広さ。グラスを傾けながら星空を眺めるひと時も、かけがえのない思い出になるでしょう。ヨットスタイルにふさわしく、パブリックエリアは海洋をイメージしたシックな装い。クルー参加型のショーや屋外バーベキューなど、小型客船ならではの和やかなイベントも、日々催されます。また、お食事も楽しみの1つ。メインダイニングでは、北米料理界のアカデミー賞ともいわれる「ジェームズビアード賞」を受賞したシェフが監修した料理の1皿ひと皿に思わず唸ることでしょう。
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オーシャンビューのバルコニー付き客室は、約26平方メートルという広さ
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デッキ上でのダンスパーティなど、和やかなイベント
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クオリティの高い食事を楽しめる8つのダイニングやカフェ
閘門通過の迫力に息を呑み 秘めやかな寄港地をめぐりゆく
航海をもっと自由に、最短距離で。そんな人々の夢を叶えたのが、運河ではないでしょうか。この旅のハイライトの1つは、パナマ運河の完全通航です。1914年に完成したこの運河は、カリブ海と太平洋で異なる水位を調整するための閘門(こうもん)がいくつも設置されています。このため、全長約82キロとスエズ運河の半分以下にもかかわらず、通過はほぼ1日がかり。日程の限られたツアーでは、途中で折り返すことも少なくありません。
対してこの旅では、港町のコロンからガトゥン閘門、ガトゥン湖、ゲイラード水路、ペドロミゲル閘門、ミラフローレス閘門が連なるパナマ運河を完全通航。閘門を通過するたびに、客船が水位調整で数メートルも上下する光景は迫力満点。船内は大歓声に包まれます。
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閘門を通過するたびに、クルーズ船が上下する光景は迫力満点
完全通航の翌日は、パナマシティでゆったりと。バロック様式の装いも見事な大聖堂や、黄金の祭壇を持つサン・ホセ教会、活気あふれる魚市場などが集う旧市街の「カスコ・ビエホ」を気ままに散策してはいかがでしょうか。
のどかなパナマシティの風情にしばし癒されたのち、「スター・プライド」は小型船ならではの機動力を発揮しながら、コスタリカの秘めやかな地を次々にめぐっていきます。手付かずの大自然が残るパリダ島では、ターコイズブルーの海と白砂のビーチも眩い「チリキー湾国立海洋公園」内を、パンガ船と呼ばれるボートでクルーズ。バンドウイルカやハシナガイルカが、ひょっこり姿を現わすかもしれません。
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熱帯雨林が広がるパリダ島を訪問
熱帯雨林が広がるオサ半島では、ナマケモノやコンゴウインコなどが暮らす保護区を観光。また、港町ケポスでは、マングローブの森をボートで遊覧。海水と淡水が混じり合う地域固有の植物や、色鮮やかな野鳥との出あいに癒されます。
下船後は、独特の「熱帯雲霧林」が広がる「モンテベルデ自然保護区」へ。近郊ホテルに連泊しながら、“聖鳥”と称されるケツァールなど、400種以上の鳥類や動物が棲息する森のミニハイキングをお楽しみください。「バタフライガーデン」では、珍しい蝶の数々に目を見張ります。
「スター・プライド」でゆくこの船旅は、ヨットスタイルの魅力を満喫しながら、パナマ運河の完全通行や豊饒なるコスタリカの大自然を体験する、忘れ得ぬ思い出になることでしょう。
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オサ半島では、中南米にしか棲息しないナマケモノも
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透明な羽根を持つトンボマダラ蝶など、珍しい蝶が一堂に集う「バタフライガーデン」
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地上約40メートルのつり橋から「モンテベルデ自然保護区」の植生観察も