千夜一夜の世界が繰り広げられるかと思えば、ヨーロッパの雰囲気をひょいと覗かせる街々。紺碧の地中海に癒されるかと思えば、過酷な砂漠の大自然。アラブ・ ヨーロッパ・アフリカの文化と歴史が交差するモロッコとチュニジアは、旅人の好奇心を刺激してやまない魅力にあふれます。 ご案内するのは、そんな北アフリカの国々をゆったりめぐる旅。モロッコを余すことなく思い出に刻むコースと、2カ国のハイライトを満喫するコースをご用意しました。
スペインとは、ジブラルタル海峡を挟んで目と鼻の先。南に目を転じれば3,000メートル級の山々が連なるアトラス山脈、そして世界最大級のサハラ砂漠。最初にご案内するのは、地図を眺めるだけでその多様さに心ときめくモロッコ周遊の旅です。
アフリカ大陸の北西に位置するモロッコは、ともすれば砂漠をイメージしがちですが、緑の草原地帯があれば青い海や白雪を冠した山脈もあるなど、旅するほどに色彩と景色のダイナミックな変化を楽しめる魅惑の国です。
旅のはじまりは、白壁の建物が多いことからスペイン語で“白い家”と名付けられた街・カサブランカ。紺碧の海と白壁のコントラストが絵はがきのようなハッサン2世のモスクや、モロッコとフランスの建築様式が融合したモハメッド5世広場を訪ねるほどに、早くもエキゾチックな旅情に包まれることでしょう。
小さな国にも関わらず、9つの世界遺産を有するモロッコ。この旅では、そのうちの5つの街や名所旧跡をめぐります。カサブランカに続いて訪れるのは、ハッサンの塔などで名高いモロッコの首都・ラバト。そして、心華やぐのがシャウエンです。そこは、どこもかしこもが青色に染めあげられた街。雑踏から逃れたホテルに滞在し、メルヘンの世界に迷い込んだような旅時間をご満喫ください。
迷宮都市フェズには2連泊し、旧市街などをたっぷりと観光。そしてヴォルビリスでは壮麗なローマ都市遺跡、古都メクネスでは精緻なモザイクが施されたマンスール門と、次々と世界遺産にふれたのち、アグルマム・シジ・アリ湖へ。エメラルドグリーンに輝くこの湖は、風も清々しい秘めやかなスポットです。湖畔に佇む「ホテル・シャルーカ・アグルマム」での宿泊は、景観の変化に富むモロッコらしさを感じていただけることでしょう。
モロッコ周遊の最後を飾るのは、麗しいバラ色に包まれたマラケシュ。その旧市街は世界遺産に登録されています。この旅では、昼となく夜となく活気に満ちあふれる「ジャマ・エル・フナ広場」に至近のリヤド(邸宅)ホテル「レ・ジャルダン・ドゥ・ラ・クトゥビヤ」に2連泊。大道芸人の妙技や所狭しと立ち並ぶ屋台の雰囲気に、たっぷりとふれていただきます。
通常のツアーではなかなか叶わないサハラ砂漠での連泊滞在も、忘れ得ぬ思い出になるでしょう。バスは、アトラス越えの絶景ルートを南下。途上で雄大なジーズ渓谷に立ち寄り、車窓を流れゆく景色に息を呑むうちに砂漠の街メルズーガに到着です。大砂丘に佇むラグジュアリーキャンプで、優雅なデザートステイを堪能しましょう。
冷暖房やシャワーを完備した客室から1歩外へ出ると、砂が波打つかのようなエルグ(砂海)が見渡す限り広がっています。地平線の先で、見上げる空で、朝な夕なに太陽や月、星々が繰り広げる幻想美に言葉を失うばかりです。
四輪駆動車でオアシスの街・リッサニやベルベル人の一般家庭訪問も、砂漠の文化を体験する貴重なひと時です。
旅の催行は断食を行う「ラマダン」の期間に重なりますが、「ラマダン」は大切な宗教儀式であるものの、想像するようなネガティブさはなく、まるでお祭りのような雰囲気。陽が暮れる合図のアザーンが鳴るのを待ちわびるかのように家族全員で飲食を楽しみ、フェズやマラケシュなどの街では夜になると人々で一杯になるほどです。そんな地元民の暮らしぶりにふれるのも、この旅の醍醐味でしょう。
北アフリカ2カ国のハイライトを1度にめぐるコースもご用意しました。最初に訪れるのは、古代遺跡や麗しい自然とともに、イスラム文化とフランス統治時代の雰囲気が交差するチュニジアです。まずは首都チュニスへ。古代ローマ時代の傑作モザイクを多数コレクションする「バルドー博物館」を観覧するとともに、アラブ街の面影を残す旧市街を気ままに散策しましょう。
翌日からは、イスラム教の聖地カイルアンの旧市街へ徒歩圏のホテル「ラ・カスバ」を拠点に、4つの世界遺産をめぐっていきます。中世の要塞を改装したこのホテルの荘厳な雰囲気と、温かなおもてなしに心満たされながら、北アフリカ最大級のローマ遺跡が現存するドゥッガ、古代ローマ時代の円形闘技場がシンボリックに佇むエルジェム、紺碧色の海も鮮やかな城壁の街スースを訪問。カイルアンでは、北アフリカ最古の「グランド・モスク」やイスラムの聖者が眠る「シディ・サハブ霊廟」へ。衣料品や食器などの露店が立ち並ぶスーク(市場)をそぞろ歩くひと時も心躍ります。
チュニスに戻ると、名残惜しくも旅の終盤。かつて地中海一帯を支配した都市国家カルタゴを観光したのち、心洗われる訪問先が小高い丘の上に佇む街シディ・ブ・サイドです。建物の白い壁とチュニジアンブルーの海の輝きを眼下に眺めながら、カフェでのティータイムをお楽しみください。
先にご案内したモロッコ周遊コースとは、趣を変えた観光もアクセントに添えました。カサブランカでは、名画の舞台をモデルにした「リックス・カフェ」へ。心地良い空間で寛いでいると、あの『As Time Goes By』の調べが静かに聴こえてきそうです。
マラケシュでは、この街から多大なインスピレーションを得たというファションデザイン界の巨匠、イヴ・サンローランゆかりのスポットを訪ねます。その1つは、園主のフランス人画家ジャック・マジョレルの死後、彼が買い取った「マジョレル庭園」。マジョレル・ブルーの彩りも鮮やかな建物と、緑の植物が織り成す光景に目を見張ります。庭園の一角には、彼がデザインした作品を鑑賞できる「イヴ・サンローラン美術館」が。YSLの大きなロゴが刻まれたエントランスで、思い出のワンショットをどうぞ。
冒険心を刺激する砂漠も訪れます。ときめきの舞台は、マラケシュから車で約40分のアガファイ砂漠。月面のような風景が広がる地で、民族音楽を聴きながらディナーを楽しむ非日常の世界をご満喫ください。
アフリカへの先入観を一変する、モロッコとチュニジア。旅を終える頃には、皆さまも彼の地の虜になっていることでしょう。