[ 海外特集③ ]

生命響く大地 タンザニア

企画=篠原陽子 文=吉田千尋 取材協力=松岡恵子さん
  • イメージ イメージ 夕陽に染まるセレンゲティ国立公園で、夜行性のライオンが、そろそろ狩りをはじめる時間

野生動物に出あえるという喜びだけでは終わらない、さらに深く豊かなひと時を堪能していただくことにこだわった、生命の宝庫タンザニアの旅をお届けします。手つかずの大自然のなかで待っているのは、厳しい環境で暮らす動物たちの生きざま、親子の絆、独特の習性などに迫る体験です。

野生動物の楽園である「セレンゲティ国立公園」と「ンゴロンゴロ自然保護区」での滞在、最大で6回ものサファリドライブなど、遭遇のチャンスをたっぷりとご用意したからこそ見えてくる生命のドラマ。力強い鼓動が聞こえてくるかのようなツアーの魅力を、添乗員たちのさまざまな体験談とともにご紹介します。

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息をのむハンティングや たくましく生きる親子の姿

旅をするのは、多くの動物が出産や子育てをする時期。サファリドライブではカップルや家族、愛らしい赤ちゃんの微笑ましい姿が見られる一方で、生命をつないでいくことの過酷さを目の当たりにすることもあります。

以前のツアーで添乗員とお客さまが目撃したのは、狩りをするライオンのワンシーンです。メスがじりじりと獲物のインパラに近付き、あとひと息という瞬間、近くにいたオスが尾を動かして草を揺らしたために、狩りは大失敗。危機一髪で逃げ切ったインパラを前に、メスは怒りをあらわにしてオスをにらみつけていたのだとか。

ライオンの群れでは、体が小さめで俊敏なメスが主に狩りを行うといわれます。サバンナでは目立ってしまうオスですが、最近の研究では水辺の草木に隠れて水牛などの大物を狙うこともあるとされ、のんびりとメスの獲物を待っているだけでもなさそうです。

ただし、オス、メスともに、その成功率は3割程度。追われる側はもちろん、追う方にとっても、狩りは困難な闘いの連続です。この時も、去っていくメスにしょんぼりとついていくオスの姿に皆さまが同情しつつ、野生の世界の厳しさをひしひしと感じるひと時だったと添乗員が振り返ります。

もちろん、息をのむようなハンティング成功の瞬間や、獲物をくわえたライオンの姿に出くわすことも。生まれたばかりのシマウマやヌーの赤ちゃんが、30分から1時間ほどで立ちあがり、懸命に群れについていくのも、このような環境で生き抜いていくための大切な本能です。

  • イメージ イメージ サファリドライブでは、すぐ間近で野生動物たちを観察できるチャンスも。ゾウやカバは遭遇率が高く、木の上で寛ぐヒョウとの出あいは珍しい

子を守る親の姿も胸を打ちます。イボイノシシの親子が見えた時、その近くで息をひそめていたのはチーター。固唾をのんで見守る皆さまの前で、狙われていることに気づいた親が子を置いてジグザグに走り出し、チーターをまいたというエピソードもあります。

100万頭以上で大移動するヌーの近くでよく見られるのは、シマウマの群れです。鋭い嗅覚を持つヌーと、すぐれた視力のシマウマが助けあうことで敵から身を守るという、自然界の不思議な共存関係に驚かされます。

どんなに小さな生き物でも、この大地での主役は彼らであるということを実感する体験談も。ある時、サファリカーが急に止まったために何事かと皆さまが周りを見渡すと、ドライバーが「見てごらん、道を渡るよ」と一言。しかし、そこからは何も見えません。車から降りてみると、目の前を小さなカメレオンがゆっくりと横切っているところだったそう。サファリでは大きな哺乳類に目が行きがちですが、ユーモラスな動きを見せてくれる、さまざまな小動物たちを発見することも大きな楽しみです。

  • イメージ 親子連れの動物に出あえることも多い季節
  • イメージ 地球の原風景で見られる夕陽の美しさは格別
  • イメージ イメージ 2~3月は、新鮮な草を求めてヌーが大移動するシーズン。数百万頭の群れに圧倒される
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世界遺産エリアのロッジに連泊するゆとりの滞在

水辺をフラミンゴが彩り、ライオンなどの肉食動物にも出あえる確率が高いンゴロンゴロ自然保護区。草食動物がよく見られ、地球上で最も多くの大型哺乳動物が集まるといわれるセレンゲティ国立公園。それぞれに魅力的な生命ドラマを体感できるのは、サファリドライブのひと時だけではありません。滞在するロケーションも、大自然の真っただ中。ホテルにいながらにして動物と出あえる可能性も高く、ダイナミックな絶景が広がる世界遺産エリアでの宿泊を実現しました。

「ンゴロンゴロ」とは、マサイ語で「巨大な穴」のことだといわれています。その名のとおり、ンゴロンゴロ自然保護区が広がるのは、約200~300万年前の火山噴火でできたクレーターの底。外輪の山からその風景を見下ろす「ンゴロンゴロ・セレナ・サファリ・ロッジ」に2連泊し、開放感あふれる滞在をお楽しみください。

セレンゲティでは、動物が観察しやすい朝や夕方のドライブに便利な国立公園中心部のホテル「セレンゲティ・セレナ・サファリ・ロッジ」に3連泊します。大地にテーブルを設え、青空のもとで味わう朝食も格別です。

  • イメージ 巨大なクレーターの縁に佇む「ンゴロンゴロ・セレナ・サファリ・ロッジ」は絶景が楽しめるバルコニー付き
  • イメージ アフリカらしいカラフルなデザインも魅力的な客室で、ゆったりと2連泊
  • イメージ イメージ セレンゲティ国立公園内の「セレンゲティ・セレナ・サファリ・ロッジ」では、すぐ近くまで動物がやってくることも
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迫力に満ちた風景を眼下にキリマンジャロ遊覧飛行

旅の前半では、タンザニアで2番目に高い標高約4,566メートルのメルー山を眺められる街アルーシャにも宿泊します。

その翌日に待っているのは、雲がかかりにくい朝に、アルーシャの街を含むこの風景を上空から眺める特別な体験です。メルー山、そしてアフリカ大陸最高峰を誇る標高およそ5,895メートルのキリマンジャロを眼下に、約1時間の遊覧飛行を満喫します。氷河と万年雪を抱くキリマンジャロの頂上付近まで舞いあがり、ぐるりと旋回しながら火口までご覧いただける飛行ルートは迫力満点です。かつては冒険家しか見ることのできなかった雄峰の絶景に、目を奪われることでしょう。

サファリドライブや絶景のロッジ、さらに空からも、タンザニアを味わい尽くす旅。そこには「動物観察」という言葉を超えた、熱く心を震わせる瞬間が詰まっています。大地で響きあう力強い生命の鼓動を感じる旅へ、出かけてみませんか。

  • イメージ イメージ サバンナとは別世界の絶景を堪能できる、キリマンジャロ遊覧飛行
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