[ 海外特集② ]

五感をくすぐるアラブの大国

サウジアラビアを語る

企画=木村聡/稲葉友香 文=清野協子
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ついにベールを脱いだ閉ざされた砂漠の王国
サウジアラビアへようこそ

サウジアラビアは長い間、外国人観光客を一切受け入れていませんでした。ようやく観光ビザが解禁され、外国人旅行者が入国可能になったのが2019年。私どもの政府観光局日本支局が開設されたのが2021年。さらに2022年には、イスラム教第2の聖地メディナへの観光客受け入れも解禁され、現在観光立国として急成長中です。

閉幕間近の大阪・関西万博で、サウジアラビア王国館は8月末の時点で200万人もの来場者があり大盛況でした。建築資材や植木もすべて現地から運び、一部再現された没入感あふれる世界遺産の街並み。幻想的な光と音楽のショーや、本格的なサウジアラビア料理のレストランも大評判です。次回2030年の万博は首都リヤドでの開催が決定しているので、政府も特に力を入れたのです。

1994年には皇太子同妃両殿下(当時)がご成婚後はじめての外国訪問として訪れました。赤い砂漠のなか鮮やかな緑色のジャケットをお召しの雅子妃のお姿は印象的でしたね。子どもや若者の間でアニメや漫画など日本文化が浸透しており、サウジアラビア王室と皇室の良好な関係もあって実は親日の国です。今年は日本と国交樹立70周年に当たる記念の年。今こそサウジアラビアへ!

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壮大なスケールの大自然 砂漠に眠る神秘の古代遺跡
アラビアの驚異を見に行く

アラビア半島の約8割を占め、日本の約5.7倍の面積を持つサウジアラビア。世界有数の産油国で国土の大部分は砂漠ですが、南には山岳地帯、北には雪が降る地域もあります。イスラム教発祥の地であり、古代から東西の交易で栄えた歴史と文化に革新が融合する神秘の国です。

首都のリヤドは近代的な高層ビルが立ち並ぶ砂漠のなかの街。近年中にドバイを超えるかといわれる急速な成長を遂げている大都市です。

紅海に面した第2の都市ジェッダは聖地メッカやメディナへ向かう巡礼者たちの中継地点として栄えた港町。世界遺産に登録された旧市街アル・バラド地区。その玄関口は、迷路のような路地に伝統的アラビア建築が立ち並び散策にぴったりです。大阪・関西万博ではここの街並みを再現して、訪れる人々を魅了しました。

  • イメージ イメージ 高さ302m“栓抜きビル”こと街のシンボルキングダムセンター(リヤド)
  • イメージ 青い海とのコントラストが美しい、紅海に浮かぶ世界初の水上モスク(ジェッダ)
  • イメージ 伝統的なアラビア建築が展示されているタイバット博物館(ジェッダ)

サウジアラビアに2つあるイスラム教の聖地のうち、創設者ムハンマドの生誕地であるメッカは、イスラム教徒以外は今も街に入ることもできません。しかし、第2の聖地メディナへは観光客が入れるようになり、ムハンマドの墓が安置された「預言者のモスク」のすぐ近くまで行くことができます。モスク周辺にずらりと並ぶ日本製素材の白い開閉式パラソルは圧巻です。

北西部にあるオアシス都市アルウラには、紀元前1世紀にこの地に隊商都市を築いたナバテア人の古代遺跡マダイン・サーレハ遺跡があります。かつてこの地からヨルダンのペトラまで隊商路が続いていました。砂漠に忽然と姿を現す、巨大な岩山をくり抜き彫刻が施された岩窟墳墓が100基以上点在します。ギネス記録「世界最大の鏡張り建造物」に登録された、鏡面で覆われた摩訶不思議な建築「マラヤ・コンサートホール」も見逃せない奇観です。

  • イメージ 高さ約16m「孤独の城」と呼ばれるナバテア人の墳墓(マダイン・サーレハ遺跡)
  • イメージ 10本の白いミナレット(尖塔)が建つ「預言者のモスク」(メディナ)
  • イメージ イメージ 周囲の岩山を映し出す世界最大の鏡張り建築「マラヤ・コンサートホール」(アルウラ)

さて、大阪・関西万博で香りが良いと評判のサウジアラビア王国館ですが、これはウード(沈香)という深みのある甘い香りがする樹脂を焚いたもの。サウジアラビアには何千年も前から「ハファワ」と呼ばれるアラビア伝統のおもてなしの心が受け継がれています。客人を迎える時に歓迎の気持ちを込めて部屋や衣服に香りを焚き染めるのです。平安時代の貴族のようですね。スパイスを効かせたサウジコーヒーと、コクのある甘みのデーツ(ナツメヤシの実)をふるまうことも、おもてなしの象徴とされています。

また、万博でもそのおいしさが好評のサウジアラビア料理。スパイスやハーブをふんだんに使い、素材の旨味を引き立てるシンプルで奥行きのある味わいが特徴で、日本人の口に合います。主食は「米」で、国民食といわれるのは「カプサ」という肉を乗せた炊き込みご飯です。

この国は2016年に発足した国家改革プラン「サウジ・ビジョン2030」により、社会改革が進みました。かつて女性に義務付けられていた全身を覆う黒い着衣「アバヤ」の着用義務はなくなったため、女性の旅も格段にしやすくなりました。従来のイメージを払拭しついに開かれたサウジアラビアは、インフラも整備されて便利で快適、犯罪率も非常に低く、治安の良さでも安心してご旅行いただけるようになりました。

視覚に訴える砂漠や遺跡などの驚くべき景観。聴覚に訴えるのは、街中に響きわたるお祈りの時間を知らせる読誦「アザーン」。ウードの甘い香りは嗅覚に、スーク(市場)でふれる手工芸品は触覚に、スパイスが効いたアラビア料理は味覚に、あなたの五感に訴えるサウジアラビアへぜひおいでください。

  • イメージ 大皿で供される米料理「カプサ」。スパイスが 効いていてもマイルドで日本人の口に合う(上)。香り高いサウジコーヒーのおもてなし(下)
  • イメージ 社会改革が進み、服装の自由度が上がり、おしゃれでカラフルなファッションを楽しむ女性たちが増えた
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企画担当者がご紹介する
〜ベストシーズンに行くサウジアラビア9日間の旅〜
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来年1月に出発するツアーをご用意しました。暑さが和らぐ冬はサウジアラビアのベストシーズン。キャセイパシフィック航空のビジネスクラスを利用して首都リヤドへ。リヤド、ジェッダ、メディナ、アルウラの主要4都市を効率よくめぐります。開かれたベールの向こうへ。魅惑のイスラム文化に誘われて、新しい驚きに満ちた旅へお出かけください。

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サウジアラビアを訪ねる旅の詳細を見る