[ 国内特集① ]

冬の醍醐味
ブランド蟹紀行

企画=中島悠/笠原晴香/金子美佐子/黒木貴士 文=浅見浩司
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冬の荒々しい日本海に君臨する“味覚の王者”ズワイガニ。その芳醇な旨味は、 産地ごとに名高いブランド蟹として愛されています。デビュー6年目の「庄内北前ガニ」、個性を競う「加能ガニ」と「香箱ガニ」、伝統ある「越前がに」、豊穣の「松葉がに」、 幻の「五輝星」――各地の名湯で温もりながら、冬ならではの醍醐味を心ゆくまでご堪能ください。

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〈 山形 〉

北前船ゆかりのニューブランド 庄内北前ガニ

山形県の日本海に面し、東を出羽山地、南を朝日山地、北を鳥海山に囲まれた「庄内」は、海、里、山の多彩な食材に恵まれた地域。最初にご紹介するのは、そんな“食の宝庫”ともいわれる豊穣の地で、「庄内北前ガニ」の懐石コースをご堪能いただく2泊3日のツアーです。

  • イメージ イメージ 濃厚な甘みが楽しめる茹で蟹

聞き慣れない方も多いかもしれませんが、庄内北前ガニは、庄内浜で水揚げされる高品質なズワイガニで、2019年、山形県と山形県漁業協同組合によりブランド化されたもの。酒田市と鶴岡市が北前船の寄港地として知られ、その商船が運んだ食文化が根付いていることから、名付けられました。このブランド蟹を名乗るには、出荷時点で生きているオスのカニであること、重さが700グラム以上あること、甲羅幅が13センチ以上であること、足が切れていないことなどの厳しい基準が設けられています。また、他地域のブランド蟹に先駆けて10月に漁が解禁され、1月までの間に底引き網で漁獲したものであることも条件となっています。庄内北前ガニの懐石コースをお楽しみいただくのは、今回連泊する、湯野浜温泉の「KAMEYA HOTEL」。庄内の多彩な冬の味覚とともに、ごゆっくりどうぞ。

  • イメージ ※食材の仕入れ状況により変更となる場合がございます。
  • イメージ 力強い旨味と香りが引き立つ焼き蟹
  • イメージ イメージ 2024年4月にリニューアルしたばかりの湯野浜温泉「KAMEYA HOTEL」では、日本海を一望する温泉風呂付客室に宿泊します。温泉は、湯冷めしにくい塩化物泉の源泉かけ流し。露天風呂や檜風呂などの大浴場で、贅沢な癒やしのひと時をお過ごしください。
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〈 石川 〉

「加」賀から「能」登まで 加能ガニ/香箱ガニ

石川県内の漁港で水揚げされたオスのブランドズワイガニである「加能ガニ」と、そのメスの「香箱ガニ」の両方が楽しめる1泊2日のツアーも、冬の北陸ならではの醍醐味といっていいでしょう。

加能ガニの漁期は11月6日から翌年3月20日まで。甲羅の幅が9センチ以上で身入りが良いものだけが選別され、青いタグが付けられます。一方、メスの香箱ガニは、漁期が11月6日~12月29日と、2カ月もない短さなのが特徴。加能ガニの半分ほどのサイズながら、甲羅のなかに未成熟卵の内子(うちこ)を、お腹に粒状の卵である外子(そとこ)をたっぷり抱えているのが魅力です。

  • イメージ イメージ ぎゅっと詰まった身の甘みと、濃厚なミソが魅力の加能ガニ

加能ガニの懐石料理をお召しあがりいただくのは、今回宿泊する山中温泉の「花紫(はなむらさき)」。たっぷり詰まった身の繊細な味わいと、濃厚なミソの独特な風味をご堪能ください。また、香箱ガニは、金沢の冬の風物詩として人気が高い「金沢おでん」の「カニ面」でお楽しみいただきます。これは、甲羅の部分に、カニ身や内子・外子を詰めたおでんダネのこと。甘味のある身、濃厚でクリーミーな内子、プチプチと弾ける外子が、金沢らしい上品な薄口の出汁に包まれて、口いっぱいに贅沢な味わいが広がります。

  • イメージ 山中温泉「花紫」でお召しあがりいただく、加能ガニの懐石料理
  • イメージ 築約100年の金沢町屋をリノベーションした、趣ある空間で味わう「カニ面」
  • イメージ イメージ この冬のツアーで宿泊する山中温泉の「花紫」は、すべての客室が名勝の「鶴仙渓(かくせんけい)」に面した、創業120年を超える老舗温泉旅館。美しい渓谷を望む最上階の露天風呂と、広々とした檜風呂の大浴場での湯あみを心ゆくまでお楽しみください。
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〈 福井 〉

全国初のタグ付ブランド蟹 越前がに

2024年の北陸新幹線・延伸開業により東京と直結した福井で、日本を代表する伝統ブランドの「越前がに」を満喫する1泊2日のツアーも見逃せません。越前がには、越前漁港をはじめとする、福井県の漁港に水揚げされるオスのズワイガニ。その漁は日本で最も古くから行われてきたといわれ、「越前蟹」の表記は、室町時代の公卿で歌人でもある三条西実隆(さんじょうにしさねたか)の日記にも出てくるとか。また、1910年に越前町(旧四ヶ浦町)で獲れた越前がにを皇室に献上したという記録も残されています。そんな長い歳月のなかで愛されてきた、伝統の越前がにを越前町漁業協同組合がブランド化したのは1997年のこと。全国ではじめて、福井県で水揚げされたセリ前のオスのズワイガニに、識別マークとしての黄色いタグが付けられました。

  • イメージ 蟹の身が口のなかで甘くとろける刺し身
  • イメージ 身の旨味が凝縮される、香ばしい焼き蟹
  • イメージ イメージ 熟練の料理人が、活越前がにを40~50分かけてじっくり茹であげる「炊き蟹」

新年1月下旬出発の旅で、越前がにのフルコースをご堪能いただくのは、130年以上の歴史を誇る老舗料亭「開花亭」。生きた越前がにを冷水からじっくり“炊く”(茹でる)、高い調理技術を要する名物「炊き蟹」や、刺し身、焼き蟹といった、素材の持ち味を活かした料理の数々をお楽しみいただきます。

  • イメージ イメージ この旅でお泊まりいただくのは、あわら温泉「グランディア芳泉 別邸 個止吹気亭(ことぶきてい)」の温泉露天風呂付スイート。優美な庭園に面した「ひのき大浴場」や、多彩な湯めぐりが楽しめる開放的な「天上のSPA」もご満喫ください。(客室温泉風呂の一例)
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〈 鳥取 〉

水揚げ量トップクラス 松葉がに

鳥取県、島根県をはじめとする山陰地方で、毎年11月6日から翌年の3月20日まで水揚げされるズワイガニのオスが「松葉がに」です。名前の由来は諸説あり、一説では、細く長い脚や身が松葉のように見えるため名づけられたとのこと。また、ひらがなで「がに」と書かれるのは、江戸時代の古文書に記された鳥取藩主の土産の記録に、こう表記されていたためといわれています。さらに、産地によって、「とっとり松葉がに」、「隠岐松葉ガニ」、「浜坂産松葉がに」といった異なるブランド名が付けられているのも特徴。ちなみに、鳥取県のズワイガニ漁獲量は、全国1位となっています(農林水産省・令和4年調べ)。

  • イメージ イメージ ぎっしりと詰まった身と上品な甘みが楽しめる「とっとり松葉がに」
  • イメージ とろっとした食感と独特の甘さが味わえる刺し身
  • イメージ 研鑽を積んだ「やど紫苑亭」料理長による、甘みと香りが際立つ焼き蟹

今回ご紹介する、島根と鳥取をめぐる2泊3日のツアーでは、境漁港で水揚げされた「とっとり松葉がに」のコース料理を堪能します。お召しあがりいただくのは、2日目に宿泊する皆生(かいけ)温泉の「やど紫苑亭(しおんてい)」。ここは、山陰の山海の幸をふんだんに使った、旬の創作料理が魅力の品格ある料亭旅館です。当日は、宿独自の厳しい選別基準を満たした、約3,000杯に1杯というひときわ高品質な松葉がによる、贅を尽くした料理の数々をごゆっくりお楽しみください。

  • イメージ イメージ 米子・皆生温泉の「やど紫苑亭」は、10室のみの料亭旅館。今回の旅では、源泉かけ流しの半露天温泉風呂が付いた、約100平方メートルのプレミアムスイートにお泊まりいただきます。24時間お好きな時に、美肌効果のあるナトリウム・カルシウム塩化物泉をお楽しみください。
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〈 鳥取 〉

幻の特級品とっとり松葉がに 五輝星(いつきぼし)

2015年にデビューした、「とっとり松葉がに」のトップブランドが、「五輝星」です。10人の目利き人が厳しい目で選別する基準は、甲羅の幅が13.5センチ以上であること、重さ1.2キロ以上であること、脚がすべて揃っていること、鮮やかな色合いであること、身が詰まっていることの5つ。これらのすべてをクリアする松葉がには、水揚げされた全体の0.1パーセントにも満たないといわれています。そんな“幻の特級品”だけに、驚くべき高値で取り引きされることも珍しくありません。実際、2018年の初セリでは1杯200万円の落札値が、翌2019年の初セリでは大幅に記録更新する500万円の値が付き、「セリで落札された最も高額な蟹」としてギネスブックに認定されました。

  • イメージ イメージ 特選とっとり松葉がに「五輝星」

鳥取県の三朝(みささ)温泉に泊まる1泊2日の旅では、その、いつ水揚げされるかわからない五輝星のフルコースをご堪能いただきます。それを可能にしたのは、老舗旅館「味覚のお宿 山田屋」。独自の加工技術により、水揚げされた五輝星を活〆し冷凍熟成することで、今回ご参加のお客さまに旨味が熟成された状態でお召しあがりいただきます。貴重な冬の味覚を、この機会にぜひお味わいください。

  • イメージ 「味覚のお宿 山田屋」秘伝の昆布ベースの出汁と、鳥取産の醤油・酢を使ったポン酢で楽しむ「かにすき」
  • イメージ 料理長自らがお客さまの前で焼き上げる、香ばしい「炭火焼きがに」
  • イメージ イメージ この旅での宿泊は、世界屈指のラジウム温泉といわれる三朝温泉の「三朝薬師の湯 万翆楼(まんすいろう)」。温泉の露天風呂もしくは半露天風呂付スイート客室をご用意しました。大浴場と合わせ、自家源泉湧出のラジウム泉をご満喫ください。
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