[ クローズアップ ]
ベストシーズンに訪ねる
とびきりのヨーロッパへ
企画=飯尾賢一/内島雄貴/長谷川賢/森脇潤/安部川帆南
文=大友園子
日本より緯度の高いヨーロッパでは、夏は日本より日が長くなり、夜の9時頃でもまだ明るく、人々の表情も活気に満ちています。日ごとに新緑は色濃く茂り、花々が次々と咲く、まさに、すべてが生命力にあふれた輝きの季節。夏はヨーロッパのベストシーズンです。この夏こそ、いつか行きたかった憧れの場所、もう一度訪れてみたかった懐かしいあの場所へ、お出かけになってみませんか。
新たな傾向を踏まえつつ
変わらぬ魅力を楽しむ旅
ヨーロッパ各国の人気の観光地には、今やすっかりかつての賑わいが戻っています。一方でホテルなど現地の受け入れ状況には変化も見られます。たとえば「バスタブ付き」客室を改装し、浴槽のないシャワーのみの客室を増やす傾向もその1つです。その理由は欧米的な生活習慣によるものだけでなく、今や幅広い年齢層のゲストが、環境への取組みや意識の高いホテルを評価するからです。今後はバスタブなしの浴室が、グローバルスタンダートになるようです。またさまざまな要因による物価高は否めませんが、いたずらに旅行日数を減らすことはしていません。長時間のフライトで訪れるヨーロッパだからこそ、お客さまの「せっかく行くならゆっくりしたい」「足を延ばして一歩先の見どころも訪れたい」という思いの丈を存分にかなえられる旅をご案内してまいります。
お客さまのお声をもとに1~2回の自由食も
最近のご参加者アンケートでは「たまには自分で好きな店で食べてみたい」「軽食で済ませておなかの調整をしたい」とのお声が多くありました。そのご要望にお応えする新しい試みとして、利便性の良い街に連泊する一部のコースにおいて、あえて食事の手配をせず、お客さまのご希望に応じて自由にお食事をお楽しみいただく機会をツアー中に一、二度設けています。ご不安な方には、おすすめレストランのご紹介など、添乗員がお手伝いしますので安心です。「食事に時間をかけず、自由時間を有効に使いたい」という方には、より楽しみ方が広がるでしょう。
この夏、自信を持っておすすめするヨーロッパの旅を、3つのテーマでご紹介していきます。
幾多の歴史が交差する
アドリア海・地中海・エーゲ海
煌めくヨーロッパへ
展望台からの街と
海の絶景ラベンダーが揺れる島
アドリア海に面したクロアチアを訪れるなら、歴史ある海辺の街や煌めく海を渡って訪れる島の観光は欠かせません。
「アドリア海の真珠」と呼ばれるドブロヴニクは、海上交易で繁栄した歴史を今に伝える城塞都市。プラツァ通りは、かつての水路を埋め立ててできた目抜き通り。乳白色の石造りの建物に囲まれた華やかなルジャ広場なども、ゆっくり歩いてみたいところです。海との境界に続く城塞からは、街の高低差を感じつつすばらしい景観も楽しめます。そんな城塞ウォークを楽しむことができるのも時間に余裕がある旅だからこそ。さらにロープウェーで街を見下ろすスルジ山に登れば、街と海の絶景を一望にできます。
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海上貿易で栄えたドブロヴニク。赤い瓦屋根と白壁が美しい
ローマ皇帝が退位後の終の棲家として選んだ街スプリット。遺跡を利用して人々が暮らすこの街から船で約1時間。フヴァル島に到着です。港から続く小さな街には修道院や聖堂など歴史ある建築物が並びます。風光明媚なこの島を忘れがたいものにしているのが、一面ラベンダーの花畑。可憐な薄紫の花と海が織り成す穏やかで幸せな風景が広がります。
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ローマ皇帝の宮殿の遺構を利用して広がったスプリットの街
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オレンジ色の屋根の家々が並ぶフヴァル。街の南西にはパクレニ諸島の島影も見える
紺碧のエーゲ海に計6泊
3つの島々にゆったり滞在
エーゲ海で最も早く興ったミノア文明が栄えたクレタ島、1日の時の移ろいを体感してこそ良さが実感できるサントリーニ島、丘の風車がかわいらしいミコノス島など、魅惑的な島々にそれぞれ連泊して、滞在を満喫するエーゲ海の旅です。クレタ島から高速艇で到着する直前には、まるで雪が積もっているかのようなサントリーニ島が現れます。雪のように見えるのは高台に建つ白壁の家々。島に上陸して眺める海の景観は時間とともに印象が変わり、特に夕景の美しさには時を忘れます。ミコノス島ではおしゃれなカフェなどが集まるリトルベニスへもご案内。各島々で素敵な滞在をお楽しみいただけます。
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サントリーニ島イアの夕景。一瞬ごとの変化に言葉を失う
ベストシーズンに訪ねる とびきりのヨーロッパへ
街・文化・芸術……
多彩な表情と出あう
奥深きヨーロッパへ
花咲く北フランスの旅や
スコットランド満喫の旅
フランス北西部ノルマンディー地方や、ブルターニュ地方には、小さな港町や中世の面影を残す古い街並み、伝統文化が息づく暮らしなど穏やかな風景があります。短い夏はこの地方が最も輝く季節。印象派の画家たちも描いた美しい「フランスの田舎」を訪れます。
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ロクロナンは「フランスで最も美しい村」の1つ。夏はアジサイが美しい
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花の季節を迎えたイギリスでは庭園めぐりも楽しみたい
映画『男と女』で有名になった海辺のリゾート・ドーヴィル。映画の舞台となった高級ホテル「バリエール・ル・ノルマンディー」に滞在して、明るい陽光の下で輝きを増す、エトルタの海岸やカラフルな港町オンフルールなどへ出かけます。ケルト文化が残るブルターニュ地方では、地の果てを思わせるラ岬や美しい村などを訪れます。
人の暮らしに寄り添うように自然があるイングランドでは、次々に咲く花々が美しい庭園めぐりも大きな楽しみです。その一方、古都エジンバラを擁するスコットランドでは、雄大な自然景観が広がるベン・ネビス山やグレンコー大渓谷などをめぐります。鉄道発祥の地イギリスで大人気のジャコバイト号にも乗車。車窓の風景とともに、到着地マレイグからアザラシの棲む小島へワイルドライフ・クルーズを楽しみます。
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映画『ハリー・ポッター』で魔法学校に向かう列車として登場したジャコバイト号
街も海もイタリア周遊の旅や
音楽祭も楽しむドイツの旅
イタリア周遊の旅では、北部の都市ミラノ、ベニスを訪れた後、フィレンツェに3連泊します。ウフィツィ美術館、ヴェッキオ宮殿など、街全体がルネッサンスの栄華を今に伝える屋外美術館のような古都を堪能します。街にも慣れてきた滞在最終日の午後は自由行動、自由食ですので、思うままに街歩きもたっぷり楽しめます。もちろん、サポートやご提案もしますのでご安心ください。
フィレンツェからは、快適な高速鉄道を利用して、ヴェスヴィオ火山を望む地中海の街ナポリまで一気に移動。カプリ島観光では青の洞窟やローマ皇帝の別荘跡も訪れます。最後に訪れるのは永遠の都ローマ。イタリアを北から南へじっくり訪ねる決定版の旅です。
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何度訪れても魅了される街フィレンツェ。自由に歩いてみるのも楽しい
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音楽祭の季節を迎えより華やかさを増すドレスデン
初夏の頃に訪れるドイツ周遊の旅では、おとぎ話の舞台のような街ローテンブルクに滞在します。この街には自由都市として栄えた中世の街並みがほぼ完璧に残されています。城壁内(旧市街)に位置するホテルを確保していますので、朝や夕方には静かな街をゆっくり散策できます。
また、エルベ河畔に佇む芸術文化の街ドレスデンに3連泊し、5月から6月にかけて開催されるドレスデン音楽祭を鑑賞します。この音楽祭は、ヨーロッパで最も人気のある音楽祭の1つ。ここ数年経験できなかった、クラシックの本場ですばらしい演奏を鑑賞できる貴重な機会です。
河沿いの小さな街を訪れるドウロ河クルーズ
ポルトガルを訪れたらぜひ経験したいドウロ河のクルーズ。ワインの街ポルトからはじまります。河の両側の斜面には美しいぶどう畑が続いています。19世紀頃までワインは樽に詰めて、平底の小型船で運ばれていました。当時は岩が多く急流があり危険でしたが、ダムができ数カ所の閘門(こうもん)が設けられ、ゆるやかな流れになり、クルーズが人気となっています。今回、ぶどう畑が続くドウロ渓谷を、お食事にも定評のあるフランス・クロワジ社の客船で優雅に旅します。所によっては、こんな場所にどうやってぶどう畑をつくったのだろうと思うような急斜面もあり驚かされます。途中、ペーソ・ダ・レーグア、ラメーゴなど訪れる機会の少ないかわいらしい街々にも立ち寄ります。
クルーズ前にリスボンやシントラなどの観光を楽しみ、コインブラでは宮殿ホテルに宿泊します。
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ワインの街ポルトからぶどう畑が美しいドウロ河クルーズへ
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ベストシーズンに訪ねるヨーロッパの旅
2月1日更新記事で公開中
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▶ ミラノからナポリ、カプリ島まで人気都市に連泊しながら周遊
北から南へ 初夏のイタリアで個性あふれる街歩きを楽しむ旅へ
▶ ロマンチック街道からベルリンまで
花咲く季節に連泊でめぐるドイツドレスデン音楽祭で本場のクラシックに酔う
▶ 高架橋を走る列車で魔法の世界へ
物語をつむぐ美しき国スコットランド
▶ クロアチアのきらめく湖群国立公園から
多島美のアドリア海宝島のようなフヴァル島へ
▶ スペインからフランスへ
国境を越え、ピレネー山脈の絶景を体感する